第三十七話 「ホワイトデーシロップ」
第三十七話
「ホワイトデーシロップ」





3月14日 ホワイトデー。
バレンタインはお互い頑張って手作りのチョコを贈りあったが、ホワイトデーは時雨のスキルが間に合わないので市販のもので済まそうと話し合う。

「はい 時雨の好きな黄金糖」
買ったままビニール袋で渡すのは流石に味気ないと思いコルクの蓋のガラス瓶にリボンを巻いて時雨に手渡す。

「ありがとー はい 水飴」
時雨の方はパッケージもそのまま『徳用水飴500ml』と書かれた瓶を咲也に手渡す。

「…え…」
ずっしりと重い水飴を手にどうしたらいいのか悩む咲也。
スプーンですくってそのまま食べろという意味なのか、これを使って何かお菓子を作れという意味なのか…

そんな咲也の様子を見ながら素知らぬ顔で
「んー 黄金糖はいつ食べても美味しいねぇ」と早速一粒口にしている。

「時雨… これ どうしろと…?」
苦笑いを浮かべながら恐る恐る時雨に真意を確かめるしかない。

「んー じゃあ早速使おうか」
すくっと立ち上がり咲也の手を引いて立たせる。

「使う…?」
意味がわからないまま時雨に手を引かれるまま脱衣所に連れて行かれる。

さっさと自分のシャツとズボンを脱ぎ捨てると困惑している咲也の帯を解いて着物を脱がせてしまう。
「ほら こっちこっち」
と、浴室に手招きする。

「え… ちょ… 時雨?」
手際良く脱がされてしまえば浴室に入っていく時雨。
何となく嫌な予感がする…

「咲也… 座って?」
咲也を湯船に寄りかかるように座らせる。
咲也の手から水飴の瓶を奪うとパカッっと蓋を開ける。

「時雨… まさかと思うけど… それって…」
逃げ腰になっても背中は湯船に寄りかかっていてそれ以上後退することはできない。

「一度やってみたかったんだよねー あまーいの」
いかにも楽しそうに笑う時雨がトロリと水飴を咲也の肩から胸に垂らしていく。

やっぱり… と思いながら身体を撫でるようにゆっくりと滴っていく水飴の感触に目を閉じる。
「んん… …ん」

トロトロと水飴を垂らしながら指で首筋や胸に塗り広げていく。
「ふふ 咲也の身体 テカテカしてて美味しそう」
ペロリと首筋から順に水飴を舐め取っていく。

「や… ふ ぁう」
耳元で囁かれれば全身が熱くなるような時雨の甘い声。
首筋をこんなに執拗に舐められたこともなくビクビクと肩をすくめる。

「ちゅぅ ペロ ペロ…」
水飴の甘さと咲也の声を楽しむように丁寧に舐め尽くしていく。
胸の突起に辿り着く頃には咲也もすっかり身を委ねて甘い喘ぎ声を零している。
時雨は満足そうに咲也の表情を上目遣いに見つめながら水飴の味がしなくなっても胸の突起を舐め続ける。

「はっ ん はぁ はっ あ…ッ」
いつもなら舌で舐める他に指での愛撫もあるのに今日は舌ばかりで物足りないような切なさが募る。
しかし恥ずかしがり屋の咲也に「指で触って」など言えるはずもなく。
時雨の舌の動きに身を震わせる。

胸を十分舐め終わり咲也の細いウエストやおへそに舌を這わせる。
咲也の下腹部を舐めながら再び水飴の瓶を手に取り、咲也の屹立にトロリと垂らす。

「あぁああ…っ はっあ…」
熱くなっている屹立に垂れていく水飴の感触に嬌声を上げる。

「気持ちよさそうだね 咲也…」
微笑みを浮かべながら咲也の屹立を舌を這わせる。
ペロペロと水飴を舐める行為が咲也にどれだけの快感を与えているか確かめるように見上げながら、太ももにも水飴を塗り足を広げさせる。

「あっあっはぁん…ッ あぁぁ…はぁ…っ」
いつものフェラとは違う舐めるだけの愛撫。
もっともっととねだるように時雨の髪に指を絡める。

「舐めるだけでこんなに感じちゅんだ?
 でもダメ。 これ以上やったら咲也イっちゃうでしょ?」
屹立から口を離し太ももに塗った水飴を舐めていく。

「はっ は… はぁ… 時雨ぇ… あっ」
屹立に残る快感と太ももを這う舌の感触に開かされた脚が痙攣するようにカタカタと震える。

時雨は水飴の瓶を膝から垂らし足の指まで塗り広げる。
「ちゅぱ ちゅく ちゅぅぅ」
咲也の足を持ち上げて足の指を一本ずつ口に咥えて舐めていく。
持ち上げられた咲也の足がビクンと震えるのを感じながらレローっと足の裏を舐めていく。

「ひゃぁんっ あっ はっ やぁ…ッ」
足の裏のくすぐったいような快感に声が上ずる。
片足を持ち上げられて湯船に寄りかかっていた上半身が斜めにバランスを崩す。

斜めになり片手を床についている咲也の腰を持ち上げて上半身を湯船に捕まらせ膝立ちにさせる。
背中にも水飴を垂らし上下に塗りたくる。
ただ舐めるだけではつまらないので指でツゥーっと背中を滑らせる。

「ふ…ぁ ぁあ はっ は」
全身を水飴だらけにされ舐めるだけの愛撫に切なくなっていた身体に指の感触に快感がゾクゾクと背筋を走る。
「時雨ぇ ふぁ… ぁ…」

「気持ちよさそうだね咲也
 ここも甘くしようね?」
時雨に向けられている孔に指を二本差し込み孔を開かせるとトロトロと孔の中に水飴を流し込む。

「ひゅぁぁっ んぁ ああぁん」
体内に注がれる感触に膝立ちした脚が震える。
時雨の指がクチュクチュと音を立てながら孔の中に水飴を塗っていくたびに湯船の淵にぎゅっと捕まり身体を揺らす。
「はっ あっ ぁん あ…っ はぁ」

「ちゅ ちゅる ペロ くちゅ」
咲也の孔から指を抜き双丘を持ち孔を顕にさせ舌を差し込む。
「咲也の中 あまーい… ちゅ」

「時雨…っ あッ んや…っ あッ」
湯船の淵に捕まりながらもう限界というようにはぁはぁと荒い息をしながら口の端から涎が滴るほど咲也の顔はとろけている。

「ん… 僕も気持ちよくなりたいよ 咲也…」
咲也の孔から口を離し身体を起こすとそのまま一気に咲也の孔に屹立を沈める。
水飴でぬめるの孔には簡単に根元まで挿入できてしまった。

「あああ…ぁぁああ…あああッ」
一気に挿入されビクビクと全身を震わせて受け入れる。
「はぁ はっ しぐ…れ あぁ…ッ」

「ん… 咲也の中 水飴でヌルヌル…」
咲也の背中に覆いかぶさるように抱きしめて、胸の突起を弄りながらゆっくりと腰を振っていく。

「あっ んぁ はぁッ 時雨… 時雨 はっ」
穴への挿入感、背中を滑る時雨の身体、胸の突起への愛撫。
全てを感じながら身をくねらせる。

「はぁ… 気持ちいいよ… 咲也」
咲也の耳の裏やうなじを舐めながら時雨も咲也の孔の締め付け感、咲也の背中に擦れる胸の突起の快感に徐々に腰を動かす速度を上げていく。

「しぐ…れぇ はぁ はっ この態勢… やだ… はっぁ」
涙目になりながら咲也が訴える。
「時雨を… はっ 抱きしめた…い…」

「くす いいよ…」
時雨は咲也の孔に挿入したまま咲也の身体をぐるりとひっくり返して床に寝転ばせる。

「ひゃぁあッ んぁあっ」
孔の中で時雨の屹立が回転する感触にビクンと体を震わせる。
横にされた床の感触はさっきまで時雨の体温を感じていた背中には冷たく感じられた。

「ほら 抱きついていいよ?」
咲也の腰を抱いて前のめりに身体を倒し咲也の腕が届くようにする。

「ん… 時雨 時雨…」
時雨の首に腕を回し肩に顔を埋める。

「咲也… はぁ ぁ んぁ」
咲也の背中が床に擦れるのもお構いなしに時雨が激しく突き上げ始める。

「あっ あ はぁ んぁッ しぐ…っ ぁあ」
ゆさゆさと時雨に突き上げられるまま身体を揺らす。

「はぁ… 気持ちい…
 でもまだ… イカせてあげないよ」
時雨は咲也の腰から右手を離し咲也の屹立の根元をぐっと握りしめてイけないようにする。

「なん…で… はぁ はっ 時雨…?」
屹立をきつく握り締められ苦しそうに顔をしかめながら時雨の耳元で尋ねる。

「咲也の… んぁ 気持ち…
 まだ んんッ 聞いてない…から はぁ」
時雨自身もイきそうなのを堪えながらグチュグチュと音を立てながら咲也の孔を出し入れする。

「きも…ち…? はぁ はっ は…」
快感で白濁した頭では一瞬意味がわからなかったが、意味を理解するとかぁぁっと頬を紅潮させる。
「ごめん…ね こんな時じゃなきゃ はぁッ 言えなくて… んんっ」

「聞かせて… 咲也 咲也 んぁぁ」
時雨も限界が近いのか下半身がガクガクと震え始めるが咲也への攻めは止めない。

時雨の首に回していた腕を離し、時雨の両頬を包み込むように持って涙目で時雨の青い瞳を見つめる。
「…愛してる んんっ 愛してるよ…時雨
 誰よりも… んぁ 何より…も… ふぁ
 愛して…る もう逃げない…から ぁあ
 ずっと…時雨の… あっ 傍に… んぁぁ」

「咲也っ 咲也… 愛してるよ ちゅ」
水飴の味のする口で咲也の唇を塞ぐ。
屹立の拘束も解いてやり両手で咲也の腰を掴むとラストスパートというように激しく腰を打ち付ける。

「んんん ちゅぅ ん ふぁぁッ んんぁ」
キスをしたまま再び時雨の首に腕を回し抱きつき、時雨の口内に喘ぎ声をこぼしながら咲也は限界を迎えていた。
「しぐ…っ も… はぁ だめぇ…ッ
 ああぁぁっあああああ…ッ」

「咲也ぁ イくぅ んああっあっあっあああああ」
二人同時にドクドクと白濁を吐き出す。
「はぁ… はぁ… はぁ…」
二人抱き合ったまま荒い呼吸を整えながら余韻に浸る。

「はぁ… 咲也 水飴洗い流して
 温泉入ろうか?」
時雨が身体を起こし咲也の孔からズルリと屹立を抜き取る。

「ん… あっあ…っ」
屹立の抜ける感触にまだ敏感な身体が震える。
言われたとおり手桶でお湯をかぶり全身の水飴を洗い流す。
先に湯船に浸っていた時雨の隣に寄り添うように湯に浸かる。

咲也の肩を抱き寄せて咲也の言葉に満足したように微笑みながら心地よい疲労感にふける時雨。

一方咲也はほとんど空になった水飴の瓶を見つめて
「結局… 甘いもの食べたのって… 時雨だけじゃない…?」
ちょっと拗ねたように時雨に言う。

「そういえばそうだね」
今気がついたというふうに笑って、水飴の瓶から人差し指にひとすくい水飴を取ると
「はい あーん」
咲也の口に向ける。

「ん… あむ ちゅく ちゅく」
仕方ないなぁと微笑みながら時雨の指を舐めてから、水飴で艶やかになった唇を時雨の唇に重ねる。




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