第二十六話 「ハロウィンの支度」
第二十六話
「ハロウィンの支度」




10月になり遊郭ではハロウィンの支度が始まった。
今日は毎年恒例のハロウィン中のコスプレを大人組と子供組に別れてくじ引きで決める。

時雨がくじを引くと『少年ドラキュラ伯爵』という衣装を引き当て、衣装を配る担当の子から袋を渡されると腰までの丈の短い裏地の赤い黒マント・赤い蝶ネクタイ・黒のベスト・同生地のショートパンツ・サスペンダー・黒ニーソ・つま先の尖った黒い革ブーツという衣装が入っている。

一方咲也がくじを引くと『ウルフキャット』という衣装を引く。
これには衣装を配る子も戸惑ってしまって
「え… 咲也に当たっちゃったの…?
 いいんですかー? 女将さーん?」
と、確認をとるようなハプニングらしい。

時雨は自分に当てられた衣装を淡々と試着していく。
端正な顔立ちにその衣装はこの上なくマッチしている。
まるでファンタジーの世界からそのまま飛び出してきたかと思うくらいに、幻想的で非現実的な存在に思える。
ふと咲也のほうに目をやると、なにやら慌てている男娼たちと、訳も分からず立ち尽くしている咲也の姿。
時雨はそこに歩み寄って男娼が持っているくじ引きの紙をチラリと見る。
そこには『ウルフキャット』と書かれていた。
時雨はニヤリと笑って男娼に話しかける。
「駄目だよー? ちゃんとくじ引き通りにしなきゃ」
 
時雨に諭され女将さんも「くじ引きなんだから皆平等に」との言葉に頷き咲也にウルフキャットの衣装が渡される。
皆が自分の衣装を試着していく中、袋の中身を見て唖然とする咲也。
「…これは試着とか…必要ないですよね…」
と、逃げ腰の発言をするが、皆に囲まれて逃げ場がない。

「あー 咲也逃げるのかー?」
「毎年試着するってのが決まりだよー」
逃げ腰になる咲也に、男娼たちがこぞって野次り始めブーイングが飛ぶ。
咲也の顔が徐々に青ざめていくのがわかる。
逃げ場のない咲也は、時雨の方をチラリと見た。
助けてと必死に目で訴えかけているのがわかる。
時雨は何も言わずにちょいちょいと手招きをしてみる。

「うわーん時雨ー」
情けない声を上げて時雨の背後に隠れるように飛びつく咲也。

案の定咲也は時雨に飛びついてきて、すっと後ろに隠れる。
しかし男娼たちや時雨は笑顔だ。
くるりと時雨は咲也の方に向き直り
「捕獲完了!」
と、がっちりと咲也の背中に手を回し捕まえる。
それと同時に『ウルフキャット』の衣装を持って来た男娼たちが目を光らせて取り囲んでいく。

「っ!? うえーん時雨の裏切り者ーっ」
時雨の腕の中でジタバタともがくが こんな時に限って強く抱きしめられ逃げられない。

「帯解いて着物を裾から捲って頭に被せて」
と、指示する時雨とテキパキと咲也を着物で丸める男娼仲間にされるがままになる。

「よーし、黒ファーをつけて…そうそう。
 あ、パンツは穴があいてるほうが後ろだからねー」
と、時雨はノリノリで指示していく。

肩紐のない黒ファーブラを胸に巻かれ 締め付ける感触に『これは伸縮性のある生地だ』と分かり やっぱり試着必要ないっとジタバタするがパンツも脱がされ黒ファービキニを履かせられる。
着物を頭からかぶってその中で恥ずかしさで真っ赤になっている咲也。
「う〜う〜…っ」
と、抵抗しながらも白磁の胸や背中の肌が紅潮していてその色っぽさについ悪ノリしていく男娼仲間たち。

「よーし最後に大事な部分っ」
と、時雨が合図をすれば、頭にかぶっていた着物を取り払いすぐさま猫耳のカチューシャを取り付ける。
ワナワナと恥ずかしさと怒りに震える咲也を横目に、時雨や男娼たちはおおっと、その艶やかさに声をあげる。

「うう… 時雨のばかぁ…」
ぎゅっと時雨の胸に顔を押し当て恥ずかしさから皆に顔を見せられないのを隠す。

「かわいいよ咲也」
と、震える咲也の髪を優しく撫でる時雨。

そこに続々と衣装を身にまとった大人組の面子が集まり始めた。
「あー今年は咲也が当たったんだねー」
「いいねぇ、大当たり、主役だよぉ?」
春陽と秋月はなぜか普段の着物のままで。
「おー、意外と似合うもんだなぁ、かわいらしいつーか。エロい」
と、顔に大きな縫い痕の特殊メイクをして、ボロボロの服をきた柚槻が呟く。
どうやら柚槻はフランケンシュタインの役のようだ。
「うわっ柚槻さんこわっ。
 ていうか双子さんはなんで普段の着物なんですか」
「ああ、これはねぇ、春陽が『ドッペルゲンガー』なんて役を引いちゃったからさぁ」
と、秋月は言う。
ドッペルゲンガー。
自分と瓜二つの姿で現れる化け物で、それを見たら死ぬという。
時雨は
「あ〜…」
と、納得してうんうんと頷く。

「ううー 皆ちゃんと衣装なのに
 なんでコレだけ…」
恨めしそうに皆を見上げて。
しかし咲也が気になっているのは袋の中に残る『尻尾』の存在で。
「これ以上は試着…しなくてもいいよね…?」
恐る恐る訊ねる。

「大丈夫さ、『今は』試着しなくてもいいよ」
と、不安がる咲也をなだめて。
様子を見ていた旦那のそばに歩み寄って、スッと片膝をつく。
「我が主よ、此度のウルフキャットは僭越ながらこのドラキュラのペットに戴きたいと存じます」
左手を胸に当てて、流れるように気障な台詞で旦那に願い出てみる。

優雅な時雨に一同から
「ほう…」
と、ため息が零れる。
その仕草に一瞬気を取られてしまったが
「ズルイよ」
「俺たちも飼いたい」
と、魔女や狼男に当たった男娼から声が飛ぶが
「早い者勝ちだよ」
と、微笑んでマントでさっと咲也包み込む時雨。
旦那も時雨に笑顔で頷き快諾する。

ほっと一息つく咲也をそのまま連れていこうとする時雨は、ふと何かを思いつき立ち止まる。
そしてその場の皆に聞こえるように宣言する。
「咲也ー」
ドラキュラの名に相応しい、それはそれは邪悪な笑みを浮かべて
「その格好の時は『にゃー』でしか喋っちゃダメだからね?」

「『にゃー』!?」
おうむ返しに問い返したのをその場にいた全員が大笑い。

咲也の反応に時雨はくくくっと笑いながら
「今からにゃーでお返事とは…
 やる気まんまんだね。良い子だ」
と、咲也の頬を愛おしく撫でる。
「それでは当日までに『躾』ておきたいことがありますので…今宵はこれにて」
と、ドラキュラらしく気障なセリフを吐いて咲也拐って行く。

「違…っ」
返事をしたわけじゃないのに皆に笑われ恥ずかしくて真っ赤になる咲也を時雨がマントで包んでその場から連れ去ってくれる。
時雨の部屋に着くとはぁっと大きくため息をついて恥ずかしい公開試着の場から助けてくれた時雨にお礼を言う。
「ありがと…時雨」

完全に安堵している咲也に時雨は、容赦はしなかった。
「『にゃー』でしょ? 咲也…
 いや 咲ニャ…かな?」
ドラキュラコスプレのまま意地悪そうに微笑み、くいっと咲也の顎を上げる。

「もう… 時雨…それすごく似合ってるけど… もういいでしょ…?」
と、まだ冗談だと思って苦笑いする咲也。

しかし時雨の顔は口元は笑っていても目はまったく笑っていない。
『教育』の時ですら見せたことのない表情で
「違う。人語を喋る時は 語尾が『にゃ』だよ。」
と、低く強く命令する。

「時雨…
 もしかしてペットとか躾って…
 本気なの…?」
おろおろしながら見つめているとぐいっと布団に押し倒されて咲也の着物と一緒に持ってきコスプレ袋に残る尻尾をバサっと咲也の横に投げ出す。

「さあ、躾の時間だ、マイペット。」
咲也をおさえつけるように両肩に手をやる。
「こんなの、試着しておかなきゃ当日いきなり付けられないでしょ?」
咲也見下ろしながら黒いファーで出来た尻尾に頬ずりしてみせる。
その根元にはピンポン玉のようなボールが大きさを小さくしていきながら20センチほど続いていて、咲也はビクンと身を竦ませる。

戸惑う咲也の口にボールを押し当て
「ほーら 痛くないように
 ちゃんと自分でたっぷり舐めておくんだよ」
咲也の口にボールを押し込み喉の苦しくない絶妙な位置まで咥えさせる。
「ん…っ くちゅ んぐ…」

「そうそう、しっかりといやらしく濡らしていかないと」
と、口の端からこぼれる唾液をすくいとる。
艶のある黒ファーをくすぐるように撫で
「この黒ファーは『体毛』だからね?
 つまりこの姿が咲ニャの真っ裸なんだよ。
 なんて淫らな姿なんだ。
 まあペットだから当然かな」
咲也に主従関係を分からせるように言い放ち、ビキニブラの上から身体をいじくっていく。

「んん…っ ぁ…ん…っ」
布越しでも感じて身をよじり甘い声を零す。
この姿が全裸であると言い聞かせられれば羞恥で肌が紅潮していく。

「何回言えばわかるの?
 『にゃー』だよ。
 覚えの悪い猫だなあ…
 ほら鳴いてご覧?」
ビキニブラの上から乳首をきゅっとつねりビキニパンツの上から屹立を指でピンとはじく。
普段ならしない行為をするあたり、時雨も躾に真剣なのだろう。

「ぅ…にゃ… にゃぁ…ぁぁ…んっ」
言葉攻めと羞恥プレイに真っ赤になりながら涙目で時雨を見つめながら指示に従う。

「そうそう、やればできるじゃない」
なでなでと咲也を褒めてあげながら
「ここ、パンパンで苦しそうだね可哀想だけど脱がせたら躾にならないから」
鬼畜な命令の中にも咲也への気遣いを混ぜながらビキニパンツを撫で回す。
ひくんひくんとビキニパンツの震える屹立はもう先走りで染みを作っている。
「じゃぁ、かわいい尻尾を付けてあげようか」
咲也の唾液で濡れたボールをビキニパンツの後ろの穴に通してから孔にあてがう。
ずちゅ…っと一番小さなボールから沈めていく。

「んにゃっあぁ…っ ふ…ゃぁぁ…っ」
屹立を撫でられればビクンと腰を跳ねさせ、ビキニパンツの穴にボールを通させ孔にあてがわれれば
「ひにゃぁ…っ ふ…ぅっ うにゃぁぁ」
ビクビクと腰を震わせる。

「ほらやっぱり試着しておかないと
 1個入れただけでこんなになっちゃうじゃない
 ちゃんと『躾』ないとね?」
悶える咲也の尻をパチンと叩き、くくくっと笑いながらずちゅ、ずちゅと容赦なく尻尾を根元まで入れていく。

「んんん…っ やぁ…
 はぁ…んっ ぅにゃ…ぁ…ぁあ」
奥までボールが入ってきて入り口は一番大きなボールで拡げられガクガクと身体を震わせて はぁはぁっと荒い呼吸を繰り返す。

「当日はこの格好でお客様の前に出るんだ。
 そんなに震えてたら、感じてるのバレちゃうよ?
 そんなことにならないように僕が直々に躾てるんだから」
言いながら尻尾をゆっくり引き抜いては奥まで突っ込む。
部屋中に水音をたてながら、咲也の孔を戒めていく。

「はぅ…んっ 時雨ぇ…
 ぁあ…ん…っ にゃぁぁん」
時雨の言葉に頷き震えを耐えるように時雨の肩に爪を立てるようにしがみついて。

「ん、かわいいよ咲ニャ
 それでこそ僕のペットだ」
咲也の屹立はビキニパンツの中でさらに硬さを増しているようだ。
時雨はビキニパンツをずらし屹立を露出させる。
しかし、それ以上は何も触らずに尻尾を激しく出し入れし咲也を翻弄していく。

「んんんっ ぁあっ ゃ…っ
 ふ…にゃぁ…ぁぁ…」
ビキニパンツをずらさせ屹立を露出させられると震える先端からトロトロと透明な先走りが溢れる。
触ってもらえない切なさに声を震わせる。

もう少しで達してしまうであろう咲也の屹立に気を止めずに、時雨は咲也の痴態を見下ろし
「残念なのは僕のを入れられないことかな」
尻尾で咲也を愛撫していて時雨も刺激されたのか自分の屹立も疼いている。
咲也はわかっているハズだ。
咲也の欲を解放するためにはどうすればよいのかを。
時雨は咲也に何も言わずにただ尻尾だけをいじる。

「にゃ…ぁっ しぐ…れぇ… んん… はぁ」
時雨の肩をぎゅっと掴んでいた手で時雨の頬を撫でて上を向かせ…
「く…口で… 一緒に…気持ちよく…
 …なるニャ…」
人語の語尾は『ニャ』と言うのを消え入りそうな小さな声で恥ずかしさを堪えて口にする。

咲也にとっては必死に絞りだした声だろう。
しかしそれでは時雨は満足しない。
「だから『ニャ』が聞こえないなあ?」
咲也詰め寄り、強く顎を上げさせて不機嫌そうにみつめる。
「いうこと聞けないなら、今夜はずっとイかせないように縛ってあげよう」
時雨の顔は咲也の躾を心底楽しむように口角がつり上がる。
「それに…一緒にじゃなくてまずはマスターへのご奉仕が先じゃないのかな?」

「にゃ… にゃぁ…」
『縛る』という単語に首を振り
『マスターへの奉仕が先』という言葉にコクコクと頷く。
とにかく今のまま孔だけを刺激されている状態から抜け出したくて必死に時雨の言葉に従う。

「下手な真似しなきゃ縛ったりはしないよ」
と、怯える咲也をなだめ言い聞かせる。
「さぁ、ご主人様にご奉仕をしていいかおねだりしてごらん?」

「にゃぁ…」
潤んだ瞳で時雨を見つめ。
「時雨… 時雨のおちんぽ…舐めたいニャ…
 舐めさせて…ニャ…」
甘えた声でおねだりする。

「ん、いいよいっぱい味わいなよ」
と、ショートパンツから時雨の屹立を取り出す。
先走りでヌルヌルになっているそれを咲也の目の前にやる。

「んにゃ… いただきますニャ… ちゅ」
先端にそっとキスするように口付けそのままゆっくりと飲み込んでいく。
「くちゅくちゅ ちゅぷ ぴちゃ」
先走りを舐め取るように舌を絡めながらだんだんと全体を吸い上げていく。

もう我慢できないと言った感じで屹立を貪る咲也に時雨は満足げに見つめる。
「がっついちゃって…はしたない。
 そんなに僕のおちんぽ舐めたかったの?」
咲也のご奉仕に時雨の屹立は限界まで硬さを増す。

「んくんく… ちゅぽ ちゅる…」
屹立を咥えたまま時雨の顔を見上げ頷いてみせる。
口の中で硬くなった屹立を物欲しげにチュパチュパと音を立てながら吸い続ける。

「…咲ニャは 僕のペットだから…
 はぁ 他のお客様には売らないよ…
 僕がお客様に買われてる間…
 大人しく見てるか…3Pだからね…
 ん…ぁっ 咲…ゃ…」
咲也をペットにしたのは時雨なりの独占欲で…
こんなかわいい咲也を誰に渡すものかとは口にしなかったが咲也には伝わってくるようだ。

こくこくと屹立を咥えたまま頷き
「ふにゃ… ぁんっ 時雨…ぇ… ちゅく んぁッ」
口の中でひくひくと震える時雨をたっぷりと味わうように奉仕を続ける。

咲也の激しい奉仕に屹立も限界に達して
「咲…ッ んぁ…ぁあっ ひぅ…
 イ……クッぅぅ…ッ あああっ んんん…ッ」
咲也の口の中に屹立を突き立てながら白濁を吐き出していく。

「んんっ …ごくん ちゅ ちゅく」
時雨の白濁を全て受け止め飲み干していく。
舌を絡めて屹立を綺麗に舐め上げてから口を離す。
「…はぁ は 時雨…」

白濁を飲み干し綺麗に舐めとった咲也の頭をなでて
「よし、良い子だ…咲ニャ…ご褒美をあげよう」
と、限界寸前の咲也の屹立を扱きあげ、それと同時に尻尾もぐちゃぐちゃに抜き差しし仕上げに入る。

「んやっ にゃぁぁんっ ぁぁあッ にゃぁッ」
屹立への激しい愛撫と 前立腺をゴリゴリと擦り上げてくるボールの感触に嬌声をあげぎゅっとシーツに爪を立てる。

「ほおら…サービスしてあげるから…イっちゃえ。
 じゅるるるっちゅばっぢゅううっ」
扱きながら咲也の屹立を吸い上げて、追いつめていく。

「ひゃぁぁんッ 時雨っ しぐ…れぇ…っ
 ぁぁあ にゃぁんッ イクぅぅぅ
 イッチャうっ ぁああっ」
我慢の限界の屹立に時雨の唇が触れれば一気に上り詰めて時雨の口内に白濁を吐き出す。

「んっ…んあっ…ちゅる…ちゅ」
咲也の白濁を口で受け止めると、それを飲み込まずに咲也に口づけし白濁を流し込む。
最後まで躾を徹底するつもりだろう。
「はぁ… はぁ ほら…
 尻尾付けたままでも震えなくなった…」
快感の余韻にひくんと震えてはいるが、もう尻尾には慣れた様子の咲也を撫でてあげる。

「にゃ…ぁ…」
時雨の口移しで自身の白濁を飲み込み。
尻尾に慣れた孔をきゅっと締めると本物の尻尾のようにピクンと黒ファーが揺れる。

「さて、今日の躾はこれでおしまいにしようか?
 それとももっと躾てほしい?」
普段の明るい笑顔に戻り咲也に問いかけてみる。

「はぁ… ううん ハロウィンまでまだ日もあるし… また躾てね…」
時雨の首に腕を回して抱きついて。

「ん、まだまだこんなの序の口だから覚悟してよね」
と、くくくっと笑いまたいつものように咲也と時雨は抱き寄せあい、ベッドで眠りにつく。




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