第二十五話 「9月17日」



咲也と別れた後、時雨は予約客の待つロビーへと足を運ぶ。
時雨にやや緊張の色がうかがえるのは、その相手が一番の上客である一条様であるからだ。
宛もなく彷徨う自分に名前を与え、今の自分のあり方を見いだしてくれた人。
時雨にとってはこれ以上にない恩人であり、客であり、大切な人である。
「お待たせ致しました、一条様」
ロビーのソファーで寛ぐその人の横に立ち深々とお辞儀をする。

「やぁ 賑やかにやっていたようだね 『本日の主役』さん?」
にこやかに時雨の迎えを受け、時雨の胸に付いたままの花の胸章にくすりと微笑む。
ボーイの子に時雨のために用意したプレゼントやケーキの箱を預け時雨の部屋に向かう。

「え?…あっ、うわっ…あ…あの…これは…」
今の今まで誕生日会ではしゃいでいたせいか、自分がどういう格好になっているかすっかり忘れていて慌てふためく時雨。
「ご…ごめんなさい…」
と、顔を赤くそめて一条様の後についていく時雨。

「ははは そんなにうろたえなくて良いよ。 時雨くらいの年齢の時は誕生日は楽しいイベントなのだから」
照れることなど滅多にない時雨が赤くなるのを可愛がるように髪を撫でる。

率直に、時雨の幼さを認める一条様に髪を撫でられる。
なぜだか居心地がよく、咲也も僕に撫でられたらこんな感じなのかなと思いながら、時雨の部屋の扉を開けて客人を招き入れる。
いつものようにベッドにちょこんと時雨は座る。
咲也と居る時とは違い、少々かしこまった座り方で。

部屋に通されるとプレゼントの中からラッピングしたお酒のボトルを取り出す。
「バランタインの時雨の生まれた年のものが手に入ってね さっそく乾杯しようか?」
ベッドに座る時雨に
「今日は時雨が主役だから私が作るとするか」
と、冷蔵庫からロックアイスを出しグラスにスコッチを注ぎ時雨に手渡す。
「誕生日おめでとう時雨 乾杯」

「ありがとうございます、一条様 …乾杯」
カチンとグラスを当て一条様のお言葉に甘えて、プレゼントのお酒をあおる時雨。
甘い香りと味、刺激がありつつも飲みやすく思わずうなる。
「甘くて、おいしいですね…これ」

「ふふ 流石時雨 舌が肥えているね」
ハチミツやバニラを思わせる芳醇な香りを楽しみながらオンザロックをくいっと煽る。
飲みながら他のプレゼントも開けていく。
時雨のいつもの服…シャツやズボンはこうして一条様に贈られたものだ。
仕立てのいいシャツとズボンはいつ採寸されたのかと思うほど時雨の成長に合わせてサイズもぴったりだ。

「そんな…僕はただ、甘いものに目がないだけですよ」
と、謙遜しながら、残った酒を飲み干していく。
見るといつも自分の着ている服がパサリとベッドの上に置かれている。
どこかのオーダーメイドかは分からないがやはり高級品であることには違いはないだろう。
「似合いますか? …といってもいつものと変わらないんですけど」
シャツを開けて体の前にやり、にっと笑ってみせる時雨。

「ちゃんと甘いものも用意したが もうお腹いっぱいかな?」
ケーキの箱を開けながら時雨の新しい服に目を細める。
「時雨はその格好が一番似合うね。 どこかの学校の制服のようで… 真面目な格好なのに淫乱なところがそそるよ」
くいっと時雨の顎を指で上げ軽い口付けをする。

「僕はいつでも、甘いものなら食べられますよ? もっとも…周りが止めるんですけどね」
と、自嘲気味に話す時雨。
「くす、本当に最高の誉め言葉ですよ…んっ」
酒で火照った唇や舌、そして甘い匂いが口移しで伝わり、時雨はトロンと目を潤ませる。

「ああ… 柚槻になにやら言われてるらしいね」
クスクスと笑いながらフォークにケーキを一口乗せて。
「まぁ誕生日くらいハメを外して楽しんでも良いだろう?」
時雨の口にケーキを運ぶ。
咲也の手作りケーキとは違う上品な甘みとフルーツのさっぱりした味が広がる。

「本当に大変なんですよ… もう大丈夫だと思うんですけど」
ケーキを味わいながらお腹をさすり、もうダイエットはコリゴリだと言わんばかりである。
「ふふ、そのつもりですよ… 今宵は特に、楽しむつもりですし」
と、艶やかな笑みを浮かべて一条様を見つめる時雨。

「ああ どこも太ってるようには見えないよ」
微笑みながら時雨の口の中のケーキの味を味わうように深く口付け。
「…どちらかとういと急に痩せたような気がして心配だよ 何か悩み事でもあるのかい?」
時雨の肉付きの薄い頬を撫でる。

深い口付けに声を鳴らして受け入れる時雨。
唾液の甘さも交われば、脳髄に刺激が駆け巡るような感覚が走る。
不意にかけられた一条様の問いかけに、少しだんまりしてからゆっくりと口を開く。
「つい最近、咲也のことを知ったんです。 大企業の御曹司だって… 特に悩んでいるわけでは無いんです」

「ああ… 先月が事故の日だったね… 咲也と喧嘩したわけではないんだろう?」
時雨を優しく包むように抱きしめベッドに横たわり髪を撫でてやりながら話を聞く。

「ええ、僕には地位とか身分とかそういうのとは全く縁のない人間だから 気にしないし興味もありません、でも…」
脳裏に咲也の苦しげな表情が浮かぶ。
「咲也がなにか自分の事を必死に隠してる。 僕は全然気にしないのに、隠してる。 それが引っかかってるだけです」

「…そうか 隠してる…か…」
何か心当たりがあるのか一条も言葉を途切れさせる。
「咲也のお父さんの話は聞いたかい? …この先咲也には辛い日が訪れるから… 支えになれるように… 咲也が話してくれるまでちゃんと待ってやりなさい。 いいね? 間違っても無理やり聞こうとしてはいけないよ」
時雨の髪をいじるように柔らかく撫でながら咲也を傷つけないようにアドバイスをする。

「知ってるのは…会社が色々あって咲也のお父様は自殺しちゃったってことだけです」
もちろん咲也自身の話は無理やり聞こうなんて思わない、一条様の言うことは正しい。
けれど咲也のことをなんにも知らないでこのままいられないことも事実だった。
「一条様は…咲也のこと知ってるんですか?」

「咲也自身を知ったのはここでだが 咲也の『存在』は昔から知っていたよ 咲也のお父さんが溺愛していてね 自社のCMに出演させたりしていたからね」
こつんと時雨のおでこをつついて。
「…だからと言って私の口から咲也のことを聞こうとするのはフェアじゃないだろう?」

「でもっ…」
と、次の句が出そうになるがこらえる。
知らず知らずに自分でも焦っているのだろうか、咲也のことをどうしても知りたいという自分が居ることが自覚できた。
「ごめんなさい…つい聞きたくなって」
自分で自分を戒めるように呟き。

「時雨がそんなに他人に興味を示すのは初めてだね 私のことすら聞こうとはしないのに」
言いたいことを我慢する時雨を褒めるように優しく笑って髪を撫でる。
「咲也が好きかい?」

「……わかりません」
時雨は小さく答える。
「周りから見れば、僕と咲也は仲のいい もしかしたらそれ以上の関係に見えるかもしれません。 でも…」
時雨が重苦しい表情を浮かべる。
「僕には…咲也が好きがどうかわかりません 好きということがどういうことかわかりません。 居心地の良さというのなら一条様のことが好きだと言えるのかも分からないですが」

「難しく考えすぎだよ時雨 人間関係なんて『好き』か『嫌い』しかない それ以外は『興味がない』だ」
15歳の少年にしては大人びた考え方をする時雨に少し強い口調で言う。
「こんな商売柄 嫌いな人間の相手もしなきゃいけないかもしれんが 根本ではその相手を『好き』か『嫌い』で分別できるだろう? 周りから見て仲がいいとかは関係ない 自分の気持ちに素直になってみなさい」
厳しい口調から一転して優しい声で
「私を好きだと言ってくれるのは嬉しいね」
ぐいっと抱き寄せて時雨が反論できないように唇を塞ぐ。

「っつ…」
真っ当すぎる一条様の言葉に返す言葉もなく、だんまりになる時雨。
そして
「僕は…咲也に興味がある… 好き嫌いと別にするならば これは確実に言えます」
と、恐る恐る口にだし、次の瞬間には一条様に口を塞がれてねっとりと口付け合う。

「くちゅ… ちゅう…」
しばらく深いキスを楽しみながら時雨のシャツの上から胸の突起を優しく撫でる。
度数の高いスコッチのせいかそれだけで身体が熱くなってくる。
一旦時雨から離れスーツを脱ぎネクタイを緩める。
「今日は時雨の誕生日だからなんでもおねだりを聞いてやろう。 何かあるかい?」

「んはぁ… ぢゅ… んんんっ」
アルコールを含んだ熱い吐息が流れこみ胸がじんわりと熱くなる。
胸の突起も体のほてりと伴って鮮やかに色づく。
「んあっ…僕は、気持ちいいのが大好きだから… 奈落の底に落ちる位…シてください」

「ふふ… 快感に貪欲だね 時雨」
時雨の言葉に微笑み時雨のシャツのボタンを外しながら露になっていく薄い胸板にキスを落としていき、焦らすようにゆっくりと突起に近づいていく。
「ちゅ… かり…」
すっかり勃ちあがったピンクの突起を口に含み甘噛みして舌で転がす。

時雨の体がふるふると震える。
熱い吐息が漏れ出すのをこらえようともせず、感じるがままに嬌声をだす。
「あっ はぁ… はっ 気持ちいい…」
すでに熱に浮かされた表情で甘美な愛撫を味わう。

胸だけで甘い声を上げる時雨をもっと鳴かせるように反対側の突起に人差し指を立てグリグリと強めの愛撫をする。
コリコリと硬くなった突起が胸に埋まるくらい押し込む。
逆に口の中の突起は吸い上げ引っ張るように顔を離し。
「ちゅぅぅ… ちゅぽん」

強い刺激に時雨の細い体躯は弓なりにのけぞる。
時雨の屹立もひくひくと頭をもたげ始める。
一条様が強く突起を吸い出せば呻き声にも似た、いやらしい声をあげ。
「う゛〜…んああっ…ひゃんっ」
引っ張り出された胸の突起は充血し熟れ、唾液でテカテカといやらしく映える。

「気持ちいいかい…?」
時雨の反応を確かめながら両手で突起を摘み引っ張ったり転がしたりしながら脇腹を舐めながら下半身へと身体をずらしていく。
「時雨…ズボンとパンツを脱ぎなさい…」

「は…はい、気持ちいい…んっ…です」
這いずり回る舌の感覚に体をくねらせ、呼吸も一層荒くなる。
そして一条様の指示にはいと返事一つで答える。
ゆっくりと見る者を焦らすように、潤んだ瞳で見つめながら…
そこには普段の時雨にはない恥じらいが感じられるようだ。

「そう…いい子だ」
時雨の足首からズボンとパンツが抜けると大きく脚を開かせてM字開脚にさせる。
そして間に身体を割り込ませて屹立に軽くキスをする。
先端をチロチロと舐め先走りを滴らせると時雨の右手をとって屹立を握らせる。
「咥えていてあげるから時雨の気持ちいいように動かしなさい… かぷ… ちゅ」

「えっ…」
一条様の急な申し出に一瞬言葉を失うが、慌てて
「そ、そんなこと、失礼じゃ…あああっ」
と、言い終わる前に屹立を咥えられてしまう。
「好きなようにって…そんな…」
と、屹立の気持ちよさと、申し訳なさの間に悩む時雨。
控えめに腰を振るだけで、あとは右手で強く扱く。

「もっと気持ちよくしてあげよう」
屹立から口を離し自慰をする様に扱く時雨を見下ろし満足そうに微笑みながらベッドのサイドボードの『おもちゃ入れ』の引き出しから黒いシリコンの極太ディルドを取り出す。
時雨の屹立に添わせるように握り先走りをたっぷり塗り込めるように動かしていく。

「はあっ …あっ …一条様ぁ…」
自らの痴態を見られると、さらに興奮を招き先走りを垂れ流す。
ディルドに透明なカウパーが塗りたくられれば、左手で孔をほぐしはじめて受け入れる体制に入る。

「いやらしくて…かわいいぞ 時雨」
時雨が左手でほぐす孔に唇を寄せ舌を差し込みクチクチと濡らしていく。
十分に濡らしてから屹立に口を戻し、そしてたっぷりと濡れた極太ディルドを一気に奥まで押し込む。

「そう思っていただけるなら…嬉しいです…んっ…」
孔は少しほぐしただけで奥の腸壁が見えそうだ。
そこに一条様の唾液の潤滑剤が加わり…
「んぎああああっ…ああっ!」
凶器ともいえるそれが侵入していく。
端から見ればすんなり入ったように見えるが、えぐるような痛みと快感で目の前がチカチカとスパークする。

時雨の悲鳴にも似た声を聞きながら屹立を吸い上げ両手で乳首を弄り、時折時雨の締め付けで押し出されるディルドを埋め直し3点攻めをしていく。
「どこが一番気持いいんだ?」
屹立を咥えたまま時雨を見上げ微笑む。

容赦なく、乳首、屹立そして孔を責めてくる快感は凄まじく、受け答えもままならない。
「あああっ ひいぅっ… どこがって…全部ぅううううっ」
と、言い終わったところで屹立から白濁がはじけ飛ぶ。
腰が跳ねつま先までぴんと筋肉を硬直させる。

「ふ… んぅ …ごくり」
時雨の白濁を飲み込むと、ぴんと張り詰めた時雨を強く抱きしめてやる。
やがてぐったりと力の抜けた時雨を今度はうつ伏せにして。
「どこで覚えたのかは知らないが… 最近1本では満足できていないだろう?」
にやっと笑いながらディルドを軽く引き抜き自身の屹立と合わせると再び時雨の中に埋めていく。
「く…っ これはきついな… 時雨が気に入るのもうなずける」
ぐっぐっと徐々に最奥まで沈める。

放心状態の時雨の体が柔らかく抱き起こされればうつ伏せにされ、一条様の言葉を聞けば次に何をさせるかは明白だ。
「一条様…ゆっくり… い、ぎ…やあああっ…」
極太のディルドに加え一条様の屹立が同時に侵入してくれば、孔の皺もぴんと張りつめて今にも裂けてしまいそうだ。
その苦しさや、えぐられる刺激や、屹立の暖かさが全部ごちゃ混ぜになって時雨を苛む。

「ああ… 時雨の中はいつまでたってもきつくて…気持ちいいな… 慣れるまで待ってあげるから自分から腰を振りなさい」
うつ伏せの時雨の屹立を軽く扱くように持って孔をしっかり押し付けるように最奥をキープして。

「かはっ…はあっ、はあっ、はいぃ…」
内臓が押しつぶされそうな感覚に呼吸が不規則に荒れて、汗もじんわりと浮かんでくる。
はっはっと犬のように舌をだして腰をゆっくり降り始める。
腸壁ごと持って行かれそうになり、それを戻し前立腺に当てる。
やがて強烈な快感となり時雨を襲う。
「んおおおおっ …これっ気持ちいいっ …気持ちいいれすっ…」
舌をベロリと出しながら腰を振り唾液はベッドへと滴る。

「淫乱だな… こんなきついのがいいのか」
ぐっと腰を押し付けると下腹部に押されてディルドも奥に沈む。
時雨の動きに合わせて徐々に激しく腰を打ち付けていく。
「はぁ… 時雨… くぅ」

「僕は…あはあっ…淫乱ですからっ …気持ちいいのが大好きっ …あんんっ」
心底楽しそうに、気持ち良さげに腰を振る時雨はまさしく淫乱そのもの。
淫欲の権化とも言えるだろう。
「あ゛あ゛〜 いぐっ… 僕のお尻が熱くて… イっちゃうよお〜」

「ふふ… 好きなだけイキなさい」
時雨と身体を揺らし合っているとジワリと汗ばんでくるのがわかる。邪魔なものを取り払うようにネクタイとワイシャツを脱ぎ捨て時雨を背中から覆いかぶさるように抱きしめ自身も快感を求めるように腰を打ち付けていく。
「時雨…時雨… くぁっ ふぅ…」

「一条様ぁ…出します。 いっぱいイっちゃいますぅっ!」
時雨の屹立から二回目の白濁が吐き出される。
ベッドにシミを作り、時雨は前につんのめって一条様のぬくもりを感じながら、絶頂を感じ続け、体がヒクつく。

「くっ イくぞ 時雨 …くはぁッ」
時雨の最奥に熱い白濁を注ぎ込む。
そのまま震える時雨を押さえつけるように抱きしめ乱れた息を繰り返す。
「はぁ は… 時雨 良かったぞ」
汗で張り付く前髪を撫であげ額にキスをする。

「あああっ …一条様の熱くて… 溶けちゃいそうです」
乱れたあとは一条様に向き直り、キスを受け入れる。
「ものすごく気持ち良かった… でも、これからですよね…夜は」
と、まだまだイケるよと、潤んだ瞳で笑ってみせる。

「ああ…まだ夜は長い… ゆっくり楽しませておくれ」
一旦休憩というように時雨から屹立を抜き、ディルドで栓をするようにそのまま差し込んで。
片手で時雨を優しく撫でながらグラスに残っていたスコッチを煽り口移しで時雨にも飲ませていく。
「時雨はこの酒のように甘く私を酔わせてくれる 最高の男娼だよ…」
ゆるゆると髪を撫で続ける。

「ありがとうごさいます… んあっ、これも一条様のおかげです… んっ …こくん」
残りのスコッチを飲み干せば、体の火照りはもう止まらない。
今夜は疲れ果てるまで、貪り合うだろう。
「一条様…ひとつ聞いてもいいですか?」

「ちゅ… ん? なんだい?」
口移しで飲ませたあとも啄むようにキスをしながら時雨に答える。

「例えば…」
潤んだ蒼の瞳で、それでも一条様を強く見据えて。
「例えば僕が一条様に愛を欲しがったなら、一条様は僕を愛してくれますか? 愛を与えてくれますか?」

しばらく考えるように時雨を撫でながら黙る一条。
「私は時雨が『好き』だし『愛情』も注いでいるつもりだよ。 …でもな 私には家族も会社もある。 それら全てを投げ捨ててまで 時雨を愛せるかと言われたら…難しいな。 …そう言う意味では『愛せない』かもしれないな…」
淋しそうに微笑みながら時雨を見つめ返す。

「そう、ですか」
と寂しげに語る一条様にキスをねだる時雨。
「たとえ、そうであっても… 僕は一条様の愛情を真摯に受け止めます。 愛が分からない僕には、それしかできないから…」

「ちゅ… 時雨がどんな形の『愛』を望んでいるのかは分からないが… 今までのような付き合いで良ければ ずっと時雨を買ってやるし 満足するまで抱いてやる… もっと違う『愛』を望むなら… 失うもののない咲也なら… 与えてくれるかもな」
時雨に口付けながら囁く。

咲也の愛の形、一条様の愛の形。
それらに一体なんの違いがあるというのか。
時雨は一条様の言葉を噛みしめつつ口づけを交わし、また淫らに誘っていく。
「ありがとうございます。 なら…今夜は一条様の言葉に甘えて… 心ゆくまで抱いてもらうことにします」
汗ばむ体を密着させてまた夜の営みが再開される。

「ああ ここで逢う淫らな男娼でいいのなら… 愛しているよ 時雨」
時雨に愛を語るのは偽りではないことを身体で示すように再び時雨を抱きしめ。
その身体に愛を注いでいく。




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