第二十二話
「8月22日」
夏の暑さや蒸し暑さが和らぎ始める夕方。
太陽が傾き、空を朱く染める頃
男娼たちは仕事を一段落終えポツポツと食堂に集まり始める。
朝の食堂とは違い、大人組も年少組も一同に集うのがこの時間帯の特徴だ。
時雨もゆるゆると食堂に足を運んでトレーに思い思いの食材を乗せる。
以前のように甘いものばかり乗せないのは柚槻の目を気にしてのことだろう。
「時雨… お疲れ様」
先に食堂に居た咲也の隣に座る時雨に微笑みかける。
バランスの良い食事になってきたとは言えデザートが一つも乗っていないの気づき。
「え…? 時雨 甘いものは?」
驚きを隠せない声で問う。
「え…、ああ。まあちゃんと体型維持しないとね。 せっかく痩せてきたし」
と、頬を掻きながら照れくさそうにして、ご飯を口に運ぶ。
「まあ、あとで食べれるかもしんないから…」
と、ぼそりと呟いていると。
「やっほー、時雨〜咲也〜」
「時雨いる所に咲也在りぃ、てね」
同じ声が重なって聞こえてくる。
春陽と秋月も同じテーブルに座ってにやにやする。
「あ、どうも双子さん」
にこりと軽く頭を下げる時雨に
「一括りにしないでよぉー」
と、不満気な双子。
「お疲れ様…って
あんまり疲れてなさそうだね春陽も秋月も…」
くすくす笑いながら向かいに座った二人を見て
「でも食べるものまで同じの選んでるあたり…
やっぱりシンクロ率すごい…」
「だからぁ〜同じじゃないってばー」
「ほら、ちゃんと納豆のからしの量が違うよぉ」
同じような夕食を見せておいて、違うと言い張る双子。
時雨もやれやれといったように首を振る。
「咲也〜、構ってたらキリないよ。
クローンなんだから」
と、味噌汁をすする。
二人とのやり取りに更にくすくす笑いながら
時雨の忠告を聞き笑顔で頷く。
「きっと二人は生まれた時から仲良かったんでしょうね
僕は兄弟いないからなんか羨ましいな」
言いながら食べ終わった食器を片付け始め席を立とうとする。
「あー、待った」
突然、春陽が咲也を止める。
「咲也ぁ、なぁんか忘れてないかなぁ?」
と、秋月が首を傾げながら咲也に問い詰める。
いつの間にか周りの男娼たちも咲也のことをまじまじと見つめている。
「…え?」
春陽に袖を引かれ振り返ればなんだか皆もこっちを見ている。
「え? 何かあった…?」
おろおろと時雨に助けを求めるように見つめ。
「へー、咲也は知らないのか… はたまた覚えてないのか…」
咲也を助けるわけでもなく。
薄く笑いを浮かべながら咲也を見つめるだけ。
食堂が静寂に包まれる。
「…え…?」
満場に包まれる空気に覚えがあった。
咲也が来てから数回ここで行われていた『嵐の前の静けさ』
「…もしかして… 僕の…?」
喜んでいいのか驚きと戸惑いを見せながら時雨を始め皆をぐるっと見渡す。
「いっくよー」
ぱぁんと春陽がクラッカーを鳴らし。
「皆さん御唱和くださぁい、せーの」
秋月が指揮をとって
『HAPPY
BIRTHDAY TO YOU〜♪』
食堂の中が手拍子と合唱の声でいっぱいになる。
時雨も、楽しそうに歌を歌う。
『HAPPY
BIRTHDAY DEAR 咲也〜♪
HAPPY BIRTHDAY TO
YOU〜♪』
歌い終われば、わっと拍手が大きくなる。
「…っ」
クラッカーの紙吹雪をかぶりながら 皆の合唱に照れくさくて頬を赤らめ 歌の間に食堂のスタッフが大きなケーキを運んできて テーブルに乗せロウソクに火が灯る。
歌い終わった皆の前で拍手に包まれながら ふぅっとロウソクを吹き消す咲也。
「あ…ありがとうございます…」
こんな風に誕生日を祝ってもらったのは久しぶりで照れくさそうななかにも嬉しそうに微笑んで。
「おー、盛大にやってやがるなぁ? 春陽に秋月よぉ」
一足遅れて柚槻も食堂に入ってくる。
柚槻にとっては見慣れた光景であるがこういうイベントは嫌いではないらしく微笑みながら咲也に近寄って。
「プレゼントだ、とっとけ」
と、テーブルの上にラッピングされたプレゼントを置き わしゃわしゃと頭を撫でる。
それに続き他の男娼からもプレゼントの箱が積まれていく。
「うわ… ありがとうございます…」
「ありがとう…」
柚槻を始め皆からのプレゼントにお礼を言いながら受け取っていくと あっという間に両手いっぱいテーブルの上もプレゼントで溢れてしまう。
遊郭に来て5ヶ月ほど経つが咲也が皆から慕われているのがわかる。
「さーて、後は時雨だね」
まだプレゼントの渡していないのは時雨だけ。
しかし
「咲也にとって、時雨と二人きりの方が何よりいいよねぇ」
と、秋月が淡々と話す。
「あとは俺らの出る幕はねぇよ」
と、柚槻をはじめとして、にやにやと咲也と時雨を送り出そうとする。
「あぁ、だってさ咲也。 それならとっとと咲也の部屋に行っちゃおうよ」
「え… う… うん これどうしよう
時雨 運ぶの手伝って…」
皆からのプレゼントをできる限り持って残りを時雨に頼み。
食堂に残る皆に
「ありがとうございました」
と、お礼を言って自室に向かう。
「間違いなく寝乱れるなー」
「うん、これは乱れるぅ」
「馬鹿、不粋なこと言うんじゃねぇよ」
と、小声で呟く三人。
時雨は咲也のプレゼントを半分持ってヨタヨタと歩いていく。
部屋に着くと、夕食に出ている間に運び込まれたのだろう咲也の常連客からのプレゼントも積まれていた。
「うわ… 皆なんで誕生日知ってるんだろ…」
嬉しい困惑に苦笑いを浮かべながら持ってきたプレゼントを大事そうに置いて。
時雨の腕からもプレゼントを受け取り一緒に置いて1つずつ誰からのプレゼントなのか覚えるように確認していく。
咲也の誕生日は、偶然咲也の履歴書などの書類から発覚したということは伏せておく時雨。
そして最後のプレゼントを咲也に渡す。
「はい、咲也。誕生日おめでとう」
と、やや小さめの箱を咲也に渡す。
「ありがと… 一番最初に開けていい?」
時雨のプレゼントを誰からのプレゼントより嬉しそうに微笑みながら受け取る。
「ん、いいよ」
と、照れくさそうに目を下にやる時雨。
咲也に似合えばいいなと思いながら反応を待つ。
カサカサとラッピングを開ければ時雨の瞳のような鮮やかな蒼いとんぼ玉とスワロスキーのかんざしが入っている。
遊郭に来てから5ヶ月の間、女将さんの言いつけで髪を伸ばしている咲也の首筋まで伸びた髪をくるりと巻きつけて髪に刺して見せる。
「…どう? 似合う…かな?」
咲也のさらさらの髪を、かんざしで止めればまた涼やかな感じが漂うほどにすっきりとして。
「うん、いいねバッチリ」
うんうんと首を振ってしばらく咲也を眺めて見る。
「…ん ありがと…」
照れくさそうに俯いて。
ふと気がつき常連客からのプレゼントの1つを取り出す。
「僕の誕生日に時雨にプレゼント… ってのも変かもしれないけど… お礼…」
箱を開けると銀の鎖がシャランと音を立てて
咲也の手のひらに楕円形の銀細工が落ちる。
「わ、綺麗だね…」
煌めく銀の鎖が、咲也の白い手にのってなんとも美しく見える。
「え、大丈夫だよ? べつに僕アクセサリーとか 気にするわけでもないし…」
「ん…」
ペンダントにしては大きく 懐中時計にしては小さいその楕円形の銀細工は2つあり。
時雨と一緒に仕組みを確かめる。
「えっと… まず蓋を開けて…」
銀細工の蓋を開けると七色の真珠のような色の盤面に
銀の針の乗った時計が現れる。
「ここを押すと…ガラスが外れるから…」
中蓋のガラスが開くと時計だと思っていた銀の針が消える。
盤面にではなくガラスの裏に貼られていたダミーだとわかる。
「…で 中身…」
コロンと現れた物は七色に見えていたのは
貝の内側だったことがわかる。
「初めて時雨にもらったもの…だよ
だからこのかんざしは2個目」
「あ…これって…」
貝殻が出てきた瞬間に、あの日のことがふっとよみがえる。
「あの時の…」
二人でまだ泳ぐには冷たい海で過ごしたあの日を。
「うん…」
時雨が初めての海で初めて拾った白地に黒いストライプの入った貝殻。
時雨に手渡された時1枚だったその貝のもう片方を必死に探して…
咲也は見つけていた。
「そっか、わかった」
時雨はゆっくり咲也に近寄るとそっと手を伸ばし、銀のペンダントに触れる。
「咲也の想いってことだね。 受け取っておくよ」
と、ペンダントを手に取る
「うん… 僕のお客様で時計職人さんがいて…頼んでおいたの…
まさか僕の誕生日に届くとは思わなかったけど…
時雨と一緒に持っていたいと思ってたから…」
元はひとつだった貝殻を半分ずつ持つことで自分の想いも時雨に預けるような気持ちでペンダントを渡す。
ペンダントを首につけてみる。
アクセサリー自体をつけるのがはじめてのことで似合うかどうかもわからない。
とりあえず
「どう?」
と、聞いてみることしかできなかった。
「んー… やっぱりペンダントにしてはちょっと大きいかも…
首につけてると接客の時邪魔だろうし…
ズボンのポケットでもいいよ?」
自分も首につけてみるがやはり目立つ気がして苦笑いする
「じゃあこうしようかな」
と、ズボンのベルト通しにペンダントを引っ掛けてズボンのチェーンアクセサリーのように仕立てる。
「これなら邪魔にならないかな?」
「うん それがいいね」
似合う似合うと手を叩いて賞賛して
「僕は袂に入れておこうかな」
と、手首に鎖を巻いて袖の中に入れる。
「こうやって、記念のものを共有するのもいいけどさ…」
すっと咲也に接近して耳元で話す。
「やっぱり身体が一番なんだけど、どうかな?」
甘ったるい声で咲也に問いかけてみる
「…っ う うん…」
耳元の誘惑に頬を赤らめ。
そのまま時雨の肩におでこを当てるように抱きつき。
咲也がぎゅっと抱きしめてくるのを時雨も背中をさすりながら応えてやる。
「今日は、好きにしていいよ」
と、一言耳元で囁き
「ん…」
こうして抱き合っているだけでも幸せを感じる
時雨の体温に包まれて目を閉じる。
「じゃぁ… 時雨をいっぱい感じさせて…?」
恥ずかしそうに言って首筋に顔を埋める。
「ん、いいよ」
短く一言で時雨は答え、布団へと咲也をゆっくり倒してやる。
髪をさらりとかきあげて、咲也のおでこにキスをし、薄い唇も奪う。
「ん… 時雨… ちゅ」
時雨に身を委ねされるがままに布団に倒れ優しく触れる唇にキスを返す。
熱っぽい咲也の顔を見つめながら、ついばむようにキスをする。
着物を徐々に剥がしていき、咲也の薄い胸板を露わにさせる。
さわさわとなめらかな肌を撫でつつ、咲也の内股を触る。
「ふ…ぁ 時雨… んん…」
久しぶりの時雨からの愛撫に身体はいつも以上に敏感になり時雨の手で撫でられるたびに身体をくねらせて感じる。
「ほら、もうここ元気になっちゃってるよ」
と、咲也の股間に手を伸ばし屹立を根元からゆっくりと扱いてやる。
胸元の突起も優しく丁寧に指でくるくると輪を描くようにいじる。
「んっんっ…んッ はぁ…
だって最近…時雨にシテもらってなかったから…
ふぁ 気持ちいい…」
時雨が扱き始めるとヒクンヒクンと身体を震わせながら快感にとろけた瞳で時雨を見つめる。
感じる咲也の着物をさらに剥がして
よりいっそうそそるような構図に仕立てていく。
屹立から透明な雫がこぼれ落ちて
裏筋を濡らして陰嚢へと滴る。
時雨はそれを舌ですくいとるように舐め上げていく
「んぁッ あ…ぁあッ 時雨ぇ… はぁ…ん」
袖だけを通してシーツのようになった着物に爪を立てて震えそうになる身体を抑える。
「あぁっ アッ」
時雨の舌の動きに合わせて嬌声が部屋に響く。
咲也の反応を楽しみながら、屹立をねっとりと咥え込む。
「ふぅん…ん…ん、ちゅぱっ…ん〜」
屹立を扱きつつ、いやらしい音を立てながらむしゃぶりつく時雨。
おいしそうに甘噛みし、頬の裏側でこする。
「ひゃ…んっ ぁあん しぐ…れぇ… はぁ はッ」
時雨のテクを全開で舐められてしまえばビクビクと開いた脚を痙攣させて先走りを溢れさせてしまう。
「やぁ… 時雨ぇ ふぁ…ぁぁ」
気を抜くとイキそうになってしまうのをフルフルと頭を振って自我を保つのが精一杯で。
なかなか辛抱強いのか、はたまた感じやすくなったのか。
いずれにせよ咲也は色々と変わったなあと思いつつトドメに一気に屹立を咥え込んで、ぢゅるると吸い上げる。
「ふぁぁあッ それ…ダメっ イッチャ…ぁぁあああっ」
時雨のバキュームフェラにビクンっと大きく腰を跳ね上げ。
「ぁ…ぁぁあッあああっ」
時雨の頭を抱き寄せるように髪に指を絡めて時雨の口の中に白濁を勢い良く吐き出してしまう。
むせかえりそうになるのを抑えいつものように白濁を飲み込みにこりと笑ってみせる。
咲也白濁の味はあの日とずっとかわらない。
「さぁ、咲也いっぱい感じさせてあげようか」
咲也の両足をあげて秘部を露わにすれば
くちゅくちゅと舌でほぐしていく。
「はぁ はぁ… んぁ ぁ ぁん」
息を整える暇もなく後ろを弄られ快感の余韻ですぐに時雨の指を濡らしていく。
少し舌でほぐしただけで、咲也の孔はくぱくぱと開閉を繰り返す。
指を入れるだけでくぷりと音をたてる。
その感触がたまらない。
「咲也…入れていい?」
「…う うん きて…時雨」
指が抜けて空洞になったような感覚に耐えられず時雨を欲する。
「いくよ」
時雨の屹立を真下に叩きつけるように挿入していく。
ぢゅぼっと卑猥な音をたててぬめる腸壁をかき分けていく感覚は甘美なものだった。
「んぁぁッ あぁッ 時雨 時雨ぇ ふぁぁ」
身体の中心を貫かれる感覚にもう痛みは感じなくなっていてえぐるように前立腺を突き上げられる快感だけを全身で感じて。
時雨の背中に腕を回してしがみつきユサユサと揺らされながら一層甲高い嬌声を上げる。
「ふっ、はあっ…咲也…気持ちいい?」
暖かい咲也の腸内を感じながら一心不乱に腰を振りパンパンと乾いた音が響く。
「んぁ はぁん 時雨っ 気持ちい…ぃ んはぁ ぁあっ」
激しい時雨の動きに合わせて自らも腰を振って快感に溺れていく。
「やば…い、咲也の気持ち良すぎる…んああっ」
咲也の胎内が吸い付くように締まり、時雨の足が震える。
腰がガクガクと痙攣し絶頂が近いことを悟る。
「咲也っ…おかしい…気持ち良すぎて…いっちゃう!」
「きてっ 時雨ぇ イクぅぅッ んぁぁんッあああっ」
時雨の痙攣が絶妙な振動として体内に響き
ゾクゾクっと背筋をそらしキュゥっと孔を締め付ける。
「んあっ、くぃうううっ」
屹立を押し付けて、咲也の最奥で白濁をぶちまける。
熱に浮かされたような咲也の顔に、軽くキスを落とす。
「ぁぁあッああ…っ」
身体の中に広がる熱に溶かされるような錯覚を感じながら同時に果てる。
快感にぼやけた思考でも時雨のキスに応えて舌を絡める。
「今日はお仕事ないんでしょ?
いっぱい『おかわり』させてあげるよ?」
と、時雨はまだまだイケるよと笑顔を見せて
覆いかぶさるように咲也に抱きつく。
「はぁ はぁ うん… 時雨…」
ぎゅっと時雨を抱き返し。
まだ早い鼓動と乱れた呼吸を整える。
「時雨の身体も…欲しいな」
「ん、了解」
今度は咲也の上に馬乗りになり時雨のお尻で咲也の屹立をこすり刺激を与えていく。
時雨の顔も何かに取り憑かれたかのように蒼い瞳が爛々と鮮やかに映える。
「んぁ… 時雨…」
自分の上で屹立をお尻で愛撫する時雨に入れたくてむずがゆい気分になりながら時雨を見つめる。
誘うように身体を揺らす時雨から滲み出る
色気のようなものにうっとりと見つめる。
咲也の顔を伺いながら、屹立に手を伸ばし
孔の入り口に持ってくる。
ヌルヌルと溢れ出る先走りで孔を濡らす感覚に
身を震わせながらゆっくりと埋めていく
「ん、はぁあああっ」
「う…ぁ ふ… 時雨… 時雨」
自分の屹立が時雨の中に沈んでいくと
手を伸ばし時雨の屹立を扱いて腰を振らさせる。
「うあっ…さく…やぁ…いじったら…うう…」
自らの胎内に埋まる屹立を味わいながら咲也の愛撫を受ければ細い体をそらせて天を仰ぐ。
心地よくて、気持ちよくて、頭の中が白く染まる
「感じてる時雨を…もっと見せて…? はぁ んぁ…」
時雨の腰に片手を添え前後左右に腰をくねらせる時雨の動きに合わせて屹立を扱いてあげる
「はぁ…咲也っ…気持ちいい…
どうしよう…んああっ…何も考えらんない…」
声を荒げ、腰を振り、手と手を重ね合わせる。
快楽にとろけ瞳を潤ませる姿は、咲也にはどう映るのだろうか。
「いいよ…僕も…時雨の事しか考えられない…
時雨だけ感じていたい…
はぁ うぅ… 気持ちいいよ…時雨…」
初めて見た時から好きになっていた時雨の蒼い目が自分を映して淫らに潤んでいるのを見つめながらこんなに深く愛することになるとは思っていなかったのにと言葉にはしないが微笑み見つめる。
全身汗に濡れ、黒い髪はぴったりと張り付く。
孔がきゅんと締まったかと思えば、緩く受け入れる。
緩急をつけて咲也の屹立を攻め立てる。
「はぁ… すごい… 時雨の中…気持い… んぁ あぁっ」
また気を抜くと先にイってしまいそうになるほどの快感を堪えながら時雨にも快感を分け与えるように屹立を扱いていく。
「んやぁあ…咲也っまた…いっちゃう…そこぉ…っ」
後ろでも前でも咲也を感じてしまえば耐え難い射精感が襲い、舌をだしだらしない顔で白濁を撒き散らし、孔が一層きゅんとしまる
「くっ いいよ… 一緒にイコ… ふぁぁ… 時雨 時雨ぇ」
手の中で時雨が果てるのを感じながら
時雨の中に熱いものをたっぷりと注ぎ込む
「はあ…咲也…最高…」
ぐったりと倒れ込む時雨。
身体に精液がついていてもお構いなしに
咲也に身を預け、体温を共有する。
「はぁ… は… 時雨… 何よりのプレゼントだよ こうしてるのが…一番幸せ…」
汗で張り付いた時雨の前髪をかきあげて額にキスを落としぎゅっと抱きしめる。
「良かった…僕にはやっぱりこれしかないからさ…」
咲也の身体に付着した精液を舐めて綺麗にしながらにこりと笑ってみれる時雨。
「今日1日は咲也のもの…だからね」
「一日だけ…?」
ちょっと淋しそうに微笑んで
「ずっと僕のものにしたいのに…」
それでも時雨が自分から『咲也のもの』
と、言ってくれたことが嬉しくてぎゅぅっと強く抱きしめる。
「そう、そうやって掴んで離さないなら…
いつかは、叶うかも…ね」
咲也の願いは時雨もよくよく理解している。
ずっとこうやって変わらない毎日が続けばきっと好きという気持ちが分かるはずだと、そう思える。
「うん…離さないよ… 好きだよ…時雨…」
片思いでもいいと思っていたのにいつからこんなに欲深くなってしまったのだろう。
今では時雨から想われたいという気持ちが芽生えてしまった。
好きと言ってもらえないのなら傍にいるだけでもいいからっと強く抱きしめて離さない。
「ん、知ってる」
からかうように笑って それから咲也と抱き合いながら時間を共にする。
そのうち心地よさに、うとうとと眠気にとらわれていく。
「…そういえば あの大きいケーキ 食べ損ねちゃったね…
明日の朝 残ってるかなぁ…」
汗の引いた身体を密着させながら布団の中で気持ちのいい疲労感に包まれ。
時雨についばむキスを繰り返しながら眠りに落ちていく
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