第二話

「シャワールーム」




今夜も3人のお客の相手をし
疲れきった身体を引きずるようにして
咲也が共同シャワールームに入ってくる。
「あーあ… 着物ベタベタ…」
行為で半分脱げかかっている着物を脱いで
クリーニングボックスに放り込む。
10個程ある個室からは水音はせず
先客が居ないことを確かめて
いつもは『新人だから』と遠慮していた
広めの個室に入る。
シャワーで全身を流してから
『アナル洗浄用ノズル』を孔にあてがう。
「んん… ふぁ…ぁっぁっぁ…ッ」
アナルをお湯で洗い流す行為に
まだ慣れていなくてビクビクと脚を震わせ
甘い声が零れてしまう。

「はーあ… またこんな痕付いちゃって…
 まぁ お金を落としてくれるからいいけど」
ダルそうに独り言を呟きながら
時雨も同じくシャワールームに入ってくる。
個室に入り頭からシャワーを浴びて
早々に済ませて寝てしまおうと思っていると…

「ふ… んんんぅ… …はぁ…っ」
誰かがシャワールームに入って来て
お湯の流れる音が聞こえてくる。
声を我慢しようと唇を噛み
身体の中からお湯が排出されると大きく息を吐く。

シャワールームには先客がいたようだが
なにやら水の音と混じって声が聞こえる…
か細い艶のある声…それは聞き慣れた声で。
「…ん、もしかしたら…もしかして…?」
シャワーを止めてしばらくその声を
聞き耳を立てて聞いてみる。

「は…ぁ ぁぁ… んんん…んん…ッ」
腸内を熱いお湯で洗い流す行為に
まだ慣れていないため
どうしても声が抑えられず
聞かれているであろう恥ずかしさもあり
唇を噛み締めながら続ける。

「あぁ…」
中を洗い流しているのだろう
自分はもう慣れてしまったが
声を聞く限り慣れていない者で…
そしてその声の主が
咲也のものであると理解できて…
咲也がいるであろうシャワールームへ
足を運びノックをしてみる。
「…咲也?」

「…はぁ は…っ」
お客の白濁を洗い流し
アソコからお湯が流れ出る感覚に
ふらつく身体を壁に寄りかかっていると
急にドアをノックされビクッと身体をすくめるが
すぐにその声が時雨だと分かり。
「…時雨…?」
カチャっと鍵を開けドアを少し開いて覗き見る。

「やっぱり咲也…か…」
顔をほころばせ咲也を見つめて。
「まだ…慣れないんだね? 中を洗うのは」
少々顔色の悪さが現れている咲也を心配しつつ。
「どお?  最近忙しくなってきたみたいだけど…
 大丈夫そう…ではないか…」

「ん… まだ…痛い…」
ジンジンと熱を持っているアソコを
お尻に力を入れて我慢しながら
久し振りの時雨との逢瀬に嬉しそうに微笑む。

「そっかぁ、こっちも疲れたよ…
 馴染みのお客様なんだけどね
 かなり激しかったから」
薄く笑い、カクンとうなだれるように。
時雨の手首には一筋の赤い痕があって。
「こうやって話するのも久しぶりだよね…」

「ん… 時雨 すごく疲れてそう…
 僕が洗ってあげようか…?」
手を取り広めの個室に招き入れ。
「これ…どうしたの?
 縛られたり…とか…されちゃったの?」
心配そうに手首を見つめる。

「うん、お願いしよっかな?」
咲也が手を取ってシャワールームに招き入れる。
手の痕が目に入ったのか
急に心配そうな顔になる咲也。
「ん、まぁ…僕のお客様はこういうことが好きみたい。
 咲也は多分…おとなしいから
 こういうことは無いと思うから、安心して」
手首をさすりながら、心配させないように笑い。

「痛い…? ぺろ…」
シャワーのお湯が時雨にかかるように立たせ
手首の紅を優しく舐め。
「ボディーソープ… しみる…かな?」
心配そうにそっと手のひらにボディソープを出し
時雨の身体を洗っていく。

「んっ …ちょっとだけ…」
ペロリと痕に這わせていく舌に
むずがゆさを感じつつ
咲也の手でボディーソープで身体を洗われていく。
「っ…」
時折痕にしみるのかツキンと痛みが生じるが
暖かな咲也の手が心地よくて。

「時雨の身体に… 触るのも…久し振り… だね?」
ぬるぬるとローションとは違う滑りで
時雨の首筋から胸に向かって手を上下させ洗っていく。

「そうだね、何時以来だろ…」
ヌルヌルと泡立つボディーソープが気持ちいい。
時折、胸の突起に触れられれば
客との行為の名残だろうか
敏感にぴくんと体が跳ねて…
「咲也… くすぐったい…」

「ん… 淋しかった…」
ちょっと哀しげに微笑み
敏感に反応する時雨を抱きしめるように
背中に腕を回し背骨をなぞるように
腰から上に向かって洗っていく。

「咲也…」
哀しげに微笑む咲也の髪を優しく撫でてあげる。
「そんなに僕に逢いたかったの?」

「うん… 逢いたかった… 時雨」
胸と胸を密着させて身体をくねらせるように洗い
そのまま下に身体をずらしていき
時雨の屹立に口付ける。

胸を合わせて洗われる感覚に
少し反応していた屹立を咥えられ声が漏れる。
「んぁ…っ …咲也 何してるの…」

「ん… ごめん…なさい
 でも…時雨と…シたかった…から…
 ちゅく ちゅぅ」
屹立を咥えたまま見上げ
時雨の反応を確かめつつ
太ももから下も泡だった手で擦り。

申し訳なさそうに、少し潤んだ目で見上げる顔に
ぞくりと熱いものが胸へとこみ上げてくる…
初めは慣れなかった屹立への愛撫も
見違えるように上達していて…
「んはあっ… 咲也… 上手だよ… 腰が…砕けそう…」
濡れた髪をわしゃわしゃと撫でて。

「んっ ちゅっ はぁ 時雨 気持ち…いい…? ちゅく」
屹立に丁寧に舌を絡め清めながら
茂みに指を絡め泡立てていく。

「はあっ… さく…や …いっちゃいそ…んああっ」
少し薄く、水っぽい精液を咲也の口の中で吐き出してしまう。
「はあっ…もうあんまり出ないや…」
薄く照れ笑いをして。
「いやらしい身体の洗い方もあったものだね…? 咲也…」

「んぅ…っ ゴクリ」
お客相手に何回もイカされたのであろう
薄い白濁を飲み込んで
「まだ…ココ洗わなきゃ… 大丈夫…?」
『アナル洗浄用ノズル』を手に取り時雨の孔にあてがう。

「待って… お湯で流すのは…最後でイイから…」
孔にあてがう咲也の手を止めて…
壁に手をついて後ろを向く。
片方の手でボディーソープを孔に塗りたくって…
「咲也ので… いっぱいシてから…
 咲也がエロいから…こっちが収まらなくなっちゃった…」

「ん… やだ… 他のお客様のとなんか…混ぜないで…」
ノズルを孔に挿し込み人差し指も入れ中を洗っていく。
「僕のは… 洗い流さないで…?」
クチュクチュと音を立てながら
時雨のアソコからお客の白濁を
掻きだすように洗っていく。

ここまで独占したがる咲也も珍しい…
よっぽど寂しかったんだなと考えて
「んっ…っ…ごめん」
お腹の中にお湯が満たされては咲也の指で掻き出されていく。
自分でいつもやっている行為なのに、なぜだか中が熱くて…
「わがまま…だね… やだって言ったらどうするの?」
意地の悪い天の邪鬼な質問をぶつけてみる。
無論本心ではないが。

「時雨が…嫌がることはしたくない…から…
 …終わったら また…洗ってあげる…」
ノズルと人差し指で孔を広げたり奥まで指を沈めて
一旦お湯を溜めてから
また孔を広げて吐き出させながら。

「くす…堂々巡りじゃないか…
 そしたらまた染めちゃうんだろうね… 今の咲也は…
 いいよ…洗わずに… 今晩は咲也のを感じてあげる…」
お湯の出し入れですっかりほぐれた
孔をひくひく動かしながら。
「きて…」

「ん… ありがとう…時雨…」
ノズルを抜き取り綺麗になった孔に
時雨を洗っていただけで堅くなった屹立をあてがう。

咲也も頑固というか強情なとこあるんだなぁ…
なんて思ってると
屹立が押し当てられて、奥まで突き入れられる…
「うっあっ… 深…」
敏感になっている孔は、収縮を繰り返し
余すことなく快感を掴み取って。

「はぁ…ん しぐっ…れ…」
壁に腕を突っ張る時雨の腰を抱きしめ
最初から容赦無くパンパンと
肌を打ち付けるように腰を振る。

「さく…や…っ はげし…っ」
ガツガツとえぐるような動きは、さすがに応える。
快楽の波、疲労の波、様々に混じりあって
時雨を追い詰めて…
「んあ… はあっ… はあっ…」

「ごめ… ずっとお客様相手に… ネコだった…から…
 はぁッ 気持ちい…っ んぁ」
腰を抱く手で時雨の屹立を握り
ボディーソープの残りでぬちゅぬちゅと扱きながら。

「やあ…んっ …さく…や… だめ…」
体を支える手に力が入らない…
ずるずると小さな身体が崩れていく…
支えているのは咲也の腕だけで…
「はっ… さくや…気持ちいい…
 頭ぐちゃぐちゃになりそう…」

崩れ落ちた時雨をゆっくりと
支えている腕を下ろし床に四つん這いにさせて
「まだ… イっちゃだめ…だよ? んっ はぁっ」
久し振りの時雨との行為に
自分でも意外なぐらい興奮を覚えながら
イっちゃダメと言いつつ前立腺を攻める。

「むちゃ…いわないで… はあんっ…はっ…あっ」
前立腺を攻めておきながらイカないでなんて
無理だと言わんばかりに首を振って
…気持ちいい… 気持ち良すぎて、逆にそれが辛い…
「ひぁ…さくや… イっちゃう…」

「時雨に… こんなこと…するなんて…
 許せない…よ… ぺろ… ちゅ」
時雨の背中に覆いかぶさるように密着し
上半身を床に伏せお尻を突き出すような体位にさせ
肩越しに手首の紅を舐め。
「時雨… は…ぁっ しぐ…れ…っ
 いいよ 一緒に… イク…っ」

咲也の嫉妬にも似た怒りが、伝わってきて…
心配しなくてもいいのにと思いながら…
また快楽の波に飲まれていく…
もはや全身を駆け巡る快楽に
耐えられるはずもなく。
「いぐっ… さくやぁっ …ひやあああっ」
女性の潮吹きのように
色のない精液を吹き出させて。

「ぁぁあ…っ 時雨…ッ んぁ…ぁっ」
こんなに時雨を独占したいと思っていた
自分の気持ちを伝えるように
時雨の中に白濁を注ぎ込む。

「んああああ…」
白濁を注ぎ込まれるとくたりと
床にへたりこんでしまって…
「咲也… 腰が抜けて…立てないや…」
くすっと薄く力なく笑って。

「…はぁっ はぁ… ん… 僕も…」
しばらく二人して床に這いつくばるような格好で
荒い息を整える。

「明日も接客なのに…
 これ以上疲れたら…駄目じゃない…?」
よろよろと立ち上がり… 咲也の手を取って
「風邪ひいちゃうよ… 今日は僕の部屋で寝よ?」

「ん… 時雨の部屋で寝るのも
 久し振り…だね… ちゅっ くちゅ…」
ザーっと流れるシャワーの音とは
別の水音を立てながら時雨を抱きしめキスを繰り返す。






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