第三話

「見初められた時雨」




まだ肌寒い深夜の繁華街。
ネオン灯が明るく街を照らしている。
カップルが幸せそうに歩く中
一人少年がトボトボと徘徊していて…
「…やば… お腹へって死にそ…」
義理の父に暴力を振るわれ、母には見捨てられ
とうとう着の身着のままで家出をした。
数日はなんとかなった。
しかし財布の中身はそこを尽いた。
寒さと飢えでカタカタと身体を振るわせ…

高級クラブからママさんやホステス数人に
見送られながら一人の紳士が出てくる。
程良く酔いも回って上機嫌の紳士は
携帯を取り出し駐車場に待機させている運転手にかける。
「私だ… ああ… 表通りまで出しておけ」
大きなリムジンが入れない繁華街の細い路地を歩いて行くと
トンッとすれ違いざまに肩がぶつかる。
「…おっと すまないね」
こんな場所に不釣り合いの
視界に入らないほどの小柄な少年に詑びをする。

せめてどこか暖を取れる場所を探して、細い路地に入る。
すると肩にトンと衝撃が走る。
少年はよろけて壁に手をついてバランスを取る。
ぶつかった相手を見ると、かなり風体が良い中年男性…
今の自分とは雲泥の差で、それが腹立たしくて。
「…ごめんなさい」
そう言って立ち去ろうとする。

逃げるように歩き出す少年に声をかける。
「待ちたまえ 次の交差点には交番がある
 今の君にはまずいんじゃないかね?」
今まで何人もこの繁華街で
こういった少年を見てきた男の勘が
少年の足を止めさせる。
「そのまま交番に行くというなら行きなさい
 事情があるなら聞いてやってもいいぞ?」
胸ポケットからタバコを取り出しジッポーで火をつけ
一服しながら少年の容姿を観察する。
みすぼらしい古着を着て何日か風呂に入っていないようだが
『原石』といった感じだ。

男性に背を向けて、立ち去ろうとするも
交番があると警告を受けて立ち止まる。
この時間に繁華街をさまよっている少年を見て
補導されないはずがない。
顔をから血の気が引いていくのを感じたが…
男性の言葉にゆっくりと、そちらの方を向く。
この男性の言葉に乗っかってみるのが最善だと考え…
「おじさん…お腹へった…寒いし」
俯き加減で不器用に呟いてみて。

「ふぅー…」
タバコの煙を吹きながら少年の『行き先』を決めて。
「来たまえ 何か食べたい物があれば用意させるが
 今の君には何でも良さそうだな。
 車の中にある物で十分だろう」
カシミアのコートを脱ぎバサッと少年の頭から被せて
隠すようにし肩を抱いて歩き始める。

男はタバコをふかしてなにやら考えていたようだが
少年の方を見るなり『何か食べさせてやる』と言った。
少年は少し驚いたように男を見上げて。
「え… いいの?」
と疑問を投げかけるうちに少しタバコ臭いコートを羽織って
路地の外へと寄り添うように誘導されていく…
大きな通りに出ると、テレビでしか見たことないような
リムジンが停まっていた。

リムジンの扉を運転手が開け。
「お帰りなさいませ旦那様」
と挨拶をしてくるが コートを被った少年については何も触れてこない。
「乗りたまえ」
少年を乗り込ませると自分も乗って
運転手がドアを閉めて運転席に戻ると
「『いつもの所』にやってくれ」
と指示する。
走りだすリムジンの中は暖房が効いていて
少年の震えが治まる。
「君… 名前は?」
リムジンの冷蔵庫の中から
烏龍茶の缶とつまみの生ハムを取り出し
少年に手渡しながら尋ねる。

リムジンの前で運転手らしき人が仰々しく男を出迎えて
言われるがままにリムジンに乗り込む…
少年の冷えた身体は暖房で熱を取り戻していき…
手渡された烏龍茶とハムを夢中で食べ始めて…
「名前は… 言いたくない… 好きに呼んで…」
自分の親が付けた名前すら今では忌々しい程に
少年は絶望しているようだった。

生ハムの塊にガツガツと食い付く少年をしばし眺め。
「ふむ… ちょっとこっちを向きなさい」
同じくリムジンの温蔵庫に入っていた
熱いおしぼりで少年の顔を拭いてやる。
「家出して何日目かね?」
自分の目に間違いはなかった。
汚れを拭き取ると透き通るような白い肌が現れる。

数日振りの食事にありつけ腹を徐々に満たしていく…
不意に男に呼ばれて隣にちょこんと座る。
すると暖かいお絞りで顔を丁寧に拭いてくれた。
こんな親切な人もいるのかな…と思いつつ
「え… あ… 6日…? 7日だったっけ…」
首を傾げて家出からの日数を数えて…
なにせ今まで宛てもなく徘徊して
野宿ばかりだったのだから。

「ふむ… 普通ならばそろそろ警察に
 捜索願が出ているな…
 どうする? このまま警察に連れて行くことも出来るが
 その逆も出来るぞ?
 君は『存在しなかった子供』になるんだ
 どっちがいいいかね?」
くいっと少年の顎に指をかけ上を向かせ
繁華街のネオンでははっきり見えなかった
顔を観察すると綺麗な碧眼が目を引く。
「蒼い目…か… 外国の血が混ざっているのかね?」

『警察』という言葉に過剰に反応して
男から身を引くようにするが
顎に指をかけられて
『存在しなかった子供』という言葉に
疑問の色を浮かべる。
「…意味が…わからないんですけど
 …警察に通報するなら即逃げる…」
キッと若干威嚇するように男を見て。
「知らない… 少なくとも親は両方日本人…だったはず」

「そうか… このまま放って置くと君は
 『家出少年』として永久に逃げ続けなければならん
 だが私の連れて行く『場所』で働くというのなら
 君の戸籍、住所、名前 全てが消せる
 どうだね? まぁ ゆっくり考えたまえ」
よれよれの少年のフリースに手をかけ捲り上げ
おしぼりを新しいものに変えて胸や腹を拭いていく。

聞けば、自分の存在を消して
この歳でも働ける場所があるという。
そんな夢のような話があるのかと半ば冗談のように聞いて…
「くす…面白い話… そんな所あるなら…
 是非とも行ってみたいよ…」
話をまともに受け取っていないように、冗談半分に答えて。
よく見れば少年の躯には所々痣があり…

少年の身体の感度を確かめるように
おしぼりで胸や脇腹をしつこく拭きながら。
「君のような子供には想像もできないだろうが
 『裏の世界』ではそういった事もできるのだよ」
身体にある痣を見て少年のそれまでの環境も察し
「暖かい布団、美味しい食事、仲良くなれる仲間も居るだろう
 どうだね? 行ってみたいかね?」

撫でるように汚した身体を拭いてくれれば
くすぐったそうに片目をつむって
「あ… やっぱりそういう怪しいとこなんだね…」
やっぱりそんな美味しい話が転がってる訳ないんだなと
内心ため息をつきつつ。
どうせ帰る場所もないのならと…
「どうでもいいです… とにかく元いた場所以外なら
 どこへでも連れて行って…」
自暴自棄にもとれるように、どうにでもなれと言う感じで。

少年の見た目よりも世を諦めた
精神年齢の高さを感じながら。
「どういう『場所』か見当がついたようだね?
 嫌なら今断れ良い。
 それ以上に家に帰りたくないなら
 後で本名と住所を教えなさい
 君を『抹消』してやろう」
くすぐったそうにする少年におしぼりではなく
指で身体をなぞり刺激を与えてみる。

再度確認を取る男に、諦めたように薄く笑って…
「うん… だいたいわかった… それに…そういうの
 結構『ヤられた』から…」
自らの不幸を誰にぶつける訳でもなく。
「さっさと消して欲しい… 存在してるだけ無駄だから…
 ねぇ、さっきからくすぐったい…よ」
太い指が肌をなぞればぞくぞく背中に寒気が走る。

「ほう… 初めてではないのか」
やはりな…と内心思いながら
リムジンの中を運転席と隔てた壁を
コツコツと叩いて合図を送る。
BGMとして流れていたクラシックが止まり
室内の照明が落とされる。
「まだその『場所』まで時間がかかる。
 君をそこに紹介する私にも『面子』というものがあってね。
 今の君のようにすさんだ子をやるのは少々遺憾だ。
 もっと魅力的になってもらわなければな… ちゅ」
語りかけながらフリースを脱がせ
綺麗に拭き取った肌に舌を這わせる。

「うん… 痛い思いしか無いけど…」
乱暴に押し倒され、殴られ、道具のように
慣らされもせずに剛直突き立てられた経験が呼び起こされたか
照明が落とされれば、恐怖でカタカタと体が震え始めて。
「…いやだ… 痛いのは… いやだ… ひぃっ」
男と義父が重なったか急に拒否するように身をよじらすが
予想外の舌の感覚に一瞬思考が止まって。

「ちゅう… ちゅく… ちゅ」
抵抗を示す少年をがっしりと抱きしめ動けないようにして
無言で胸に優しく舌を這わせ続ける。

義父のレイプがフラッシュバックして
いまだにガタガタと怯えていたが…
優しくも強く抱き寄せて
舌を這って感覚が少年に不思議な感覚をもたらして…
「ひぅ… おじさん… なにを…」

「ふ… 君はこういう愛され方はしていなかったようだね
 安心したまえ これから君が感じることは
 この先君が行く『場所』で何度も味わうことになる
 ちゅ…くちゅ…」
丁寧に乳首を舌で転がし
少年が腕の中で震えるのを確かめる。

義父のやり方は愛し方というには
あまりにも凄惨なものであったが…
目の前の男はどうやら違うようで
少年の乳首を吸うという
異常な行為に何故だか熱さを感じて
「…なんかっ へんっ…おじさん…」
呼吸が徐々に荒くなっていく。

「ちゅっちゅっちゅ…っ」
だんだんと激しく吸い上げながら
背中に回した手で
肋の浮き出るほど痩せこけた
少年の背筋を撫で上げていく。

「やだ…くすぐったい…」
まだ乳首への愛撫に慣れていないため
くすぐったさに身をよじる。
背中に感じる指の感覚にも敏感になり
体の芯からなにかがこみ上げてくる…
下半身も軽く頭をもたげ始めて…

「…では くすぐったくなくなるまで
 慣らしてあげよう ちゅくちゅぅ」
乳首を反対側に移しまた舐め上げていき
片手で少年のジーンズの前を
布越しに屹立を揉みしだく。

「ちょ…っと… ひぅ…」
執拗に繰り返えされる乳首の愛撫に
くすぐったさから自分でも分からない
感覚に苛まれ始める。
幼く立ち上がる屹立もさらに硬さを増して…
「おじさん…なんかへん…」

「こういうことは嫌いかね? ちゅ…」
乳首から顔を上げ 手馴れた手つきで
ジーンズを脚から抜き取り少年の屹立を露わにする。

「痛いから嫌い… だけど…分かんない…」
いままでの経験が一方的であったがために
今行われている行為に若干混乱していて…
「やっ… なに触って… ひあっ」

「おや…? もしかしてこっちは初めてなのかい?」
硬くなっている屹立を軽く握り
皮を伸び縮みさせるように軽く扱いていく。

今までの行為の中で相手の屹立を
無理やり咥えさせられたことはあっても
自分の屹立をいじられるのは皆無であり。
「ひぅ… 自分でする… くらい… ひあっ …なにこれっ」
自慰をするよりも強い快感に混乱して。

「自分ではシたことがあるのか…
 ならイキ方は分かるね?
 くぷ…っ ちゅく ちゅ… ちゅぅ…」
小さな屹立を根元まで咥え舌で裏筋を舐め上げ
唇をすぼめ締め付けるようにし上下に首を動かす。

「えっ… うそっ… なにしてっ… ひああっ…きもちっ…」
はじめて自分の屹立を愛撫されれば
ビクッと腰が跳ねてぎゅうと男の衣服にすがる。
耐性のない屹立は程なくして
腰を震えさせて精液を吐き出させる。

「ん…む ごくり」
少年の白濁を喉を鳴らして飲み込み。
「なかなかの上玉のようだ… どうだったかね?
 人に愛撫されるというのは
 これから行く『場所』でなら毎日何回も
 この快感を味わうことが出来るぞ」
クシャッと少年の髪を撫で。
「さて… では君の方の手練を見せてもらおうか」
カチャとベルトを外し自分の屹立を
まだ息も整わない少年の唇に押し当てる。

「は…あ…」
強い快楽にしばらくぼーっと虚空を見つめていて…
頭を撫でられてようやく現に戻って。
行為がこんなにも気持ちいいのかと感じて
唇には雄臭い屹立が当てられて…
「え… う…ん… レロ…」
今までが無理やりであったために
たどたどしく屹立を舐めるのが精一杯で。

「もっと口を開けて奥まで咥えてごらん」
少年の髪に手を置いて前後に腰を振りながら
少年の口内を犯していく。

「んっ…ぶぅ…ううっ…」
少年の小さな口で屹立をなんとか咥え込む。
途中歯が当たったりむせ返ったりで
とても愛撫とは言い難かった…
少年も苦しいのか、目を潤ませて見上げて。

「ふぅ… 感度の方は十分だがテクニックはまだまだ…
 と言ったところか、それも育てがいがあるというものだな
 …もういいぞ」
少年の口から屹立を抜き取り
「四つん這いになって… お尻をこちらに向けなさい」
リムジンの広い座席に少年の脚を持ち上げる。

「ぐぇ… げほっ …う…」
気持ちいいように舐めるなんてシたことがなかったから
当然上手にできるはずもなく…
「やっぱり…挿入れるの…」
もし拒否すれば、警察に突き出されるんだろうと
おずおずとお尻を向けて
尋常ではない恐怖に今にも泣き出しそうになり。
それでも痛みを耐えようと歯を食いしばる。

「怖いかね…?」
どこから取り出したのか指にローションを塗り
ツプ…っと中指だけを入れて中に塗っていく。

「怖い…」
激痛を伴う経験しか無いために
いまだに震えが止まらないが
なだめるようにに堅い孔に中指を突っ込まれれば
きゅうと締め付けて。
「…痛いよ」

「力を抜いて… 今までされてきたことを忘れて
 怖がらずにリラックスしてみたまえ」
中指を孔に挿したまま孔を広げて
直接ローションをたっぷりと流しこんでいく。

「ふっ… うぅ…」
今までのことを忘れる…
というのは少し無理があるが…
とにかく深呼吸し全身をリラックスさせる。
すると腰にズンと不思議な感覚が走って。
「…っ……!…?」

くちゃ…くちゃ…くちゃ…と音を立て
たっぷりのローションでゆっくりと
中指を出し入れし続ける。
「君はこれから『商品』になるのだから
 傷物にするわけにはいかんからな」
ちゅく…ちゅく…ちゅく…と
自分は挿入する気はないように
じっくりと少年を慣らしていく。

「ん…えっ…? んあっ…なに…これ」
孔をヌチヌチとほぐされていけば
だんだんとそこが熱を帯びるようになってきて…
余裕が出てきたのか
少し隙間ができて中の赤い腸壁をのぞかせる。

今まで巨根を咥えてきたのだろう
徐々に広がる入り口と
ヒクヒクと震える腸壁を感じながら
指先を曲げ前立腺を擦っていく。
ちゅく…ちゅく…ちゅく…

奥にさらに指を突き立てられたられれば
こりこりと前立腺に当たり
ここの刺激が初めてな少年は、目を見開いて。
「ひあっ… へんっ… そこ… あっ…」

「これを覚えれば これから君の行く『場所』は
 君にとって悪い『場所』じゃないと私は思っているよ」
ちゅぷ…ちゅぷ…ちゅぷ…
執拗に前立腺を攻めながら
反対の手にもローションを塗り
腰を抱くように前に回し
少年に2度目の愛撫を与える。

「きゅうっ …ううっ…」
全身を包むような多幸感に
犬のように舌を突き出して甘い嬌声を上げ始めて。
同時にヌルヌルと自らの屹立を扱きあげられれば
快感に疎い少年の屹立はスグに白濁を吐き出させる。
「…あっ… うう…」

2度の絶頂に座席にぐったりと
うつ伏せる少年から指を抜き取る。
静かな車内には少年の荒い息遣いと
トン…トト…ン…
と雨が天井を打つ音だけが響く。
「雨が降ってきたようだね…
 まるで君が流せない涙のようなタイミングだな」
少年を抱き上げ快楽にとろけた碧眼を見つめ。
「君の名前は今から『時雨』だ」
あやすように抱きしめ髪を撫でる。

「は…あっ う…」
二度の射精で体力を使い果たしたか…
くたりと萎える体を男が抱き寄せる。
ぼーっと見つめる景色はいつの間にか雨が降っていて
窓を雨粒が濡らしていく。
「し…ぐれ…?」
トロンとした碧眼でおうむ返しで聞き返して…
「おじさん…は 挿入れないの?」

「入れて欲しいのかい?
 私は君がこれから行く『場所』に
 ふさわしいか試してみたかっただけだから
 君に無理をさせたくはない
 欲しいというなら別だが…」
さっきまであんなに怖がっていた時雨を
優しく微笑みながら髪を撫で続ける。

「おじさんなら… もっと気持ちよくできるでしょ…
 どうせなら…その先を見せてよ…」
必死に懇願するように…
「あの男のっ …こびりついて取れないんだよっ
 …だから忘れさせるくらいに僕を作り替えてよ…」
くしゃくしゃと頭を抱えて、うずくまるように震えて。

「じゃあ 脚を広げて…」
座席に深く腰掛け時雨を
自分の上に跨らせるようにし
スーツのズボンから屹立を取り出し。
「自分から入れてごらん」

「んっ…くっ…ううっ…」
細い太ももを開いて
濡れそぼっている孔に屹立を入れようとするも
滑ってなかなか入らない。
ようやく先端が当たりゆっくりと腰を沈めるが
半分程度しか入らない。
「っ…ううっ…」
苦痛もあるが、まだ慣らされていただけあって
じんわりと快楽も享受し始めて。

「私は何もしないから
 時雨が自分で気持ち良くなってみなさい
 それがきっと時雨の嫌がっている思い出を
 消し去ることのできる方法だと思うんだがね」
時雨の中でグっと太さをたもったまま
悠々と座席に身体を伸ばしている。

「うん… く… ああっ …深いっ…」
ミリミリと広がる孔…
すべてを埋めるころには襞は完全に伸びきっていて。
屹立の熱さに目眩さえ覚える。
腰を振ってゆっくりと上下させれば
前立腺をゴリゴリと刺激して時雨は身震いする。
「はあっ なに…これ… やば…いっ…」

「気持ちいいかね?」
満足気な表情で時雨を見つめつつ
また時雨の屹立を擦ってやる。

「知らな…かった、こんなに気持ちいいなんてっ
 …ひあっ…んあっ…あっ…」
痛みはやがて快楽に変わりつつある。
その快楽を貪るように腰の動きは激しさを増していく。
「んひっ…気持ちい…」
瞳からはようやく一筋の涙が零れる。
それは快楽からかそれとも…

「好きなだけ動きなさい。
 時雨にこびりついてるというモノを忘れるくらいに…な」
しゅっしゅっと屹立を時雨の動きに合わせて扱いてやる。
「おや… また一雨降ってきたね…」
指で時雨の涙をすくってやる。

「んっあっあっあっ…」
リズミカルに動く腰に合わせて
甘い吐息が漏れ出してしまう。
もともと素質があったのだろう。
もはや排泄器官は性器と化して
屹立をきつく締め上げる。
「くるっ… ああっ …またくるよぉっ…」
絶頂は近く、男の肩をもって抱きつくようにして。

「ふふ… かわいいぞ 時雨」
時雨の動きに自身も快感を得て
時雨の中で太さを増す。
「はぁ… そろそろ イキそうだ…」
気持ちよさそうに目を閉じ時雨の中を感じる。

「〜〜〜〜っ!」
かわいいという言葉にとうとう陥落したか
言葉にならない悲鳴をあげて
びゅっと三回目の絶頂に達してしまう…
「うあ…うああっ…はあっ」
それと同時に中を締め上げて
屹立の形を直に感じてしまう。

「く…っ んんぅ」
締め付ける時雨の中に勢い良く白濁を注ぎ込む。
「…ふぅ どうだった? 気持ちのよいものだろう?」
ぐったりと胸にもたれかかる時雨を抱きしめてやる。

「くぁ…ああっ…」
注ぎこまれる白濁は
今までに感じたことのない熱さで…
男の問いにこくり首を縦に振ると
そのまま胸の中で夢を見るのも悪くないと
ぐったりと眠ってしまう。

程無く車が止まった気配がし
スモークガラスの窓が半分程開かれる。
「女将を呼んでくれ」
出迎えに出てきたボーイにそう告げると
眠る時雨をカシミアのコートで包み
花嫁を抱くように抱き上げ
これから時雨が過ごすことになる『場所』へと向かう。






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