第六話 「時雨の風邪ひき」
第六話
「時雨の風邪ひき」





ようやく春らしく暖かくはなってきたものの、夜の空気は冷たい。
そんな季節の変わり目の中、時雨はお客様を待つベッドではなく医務室のベッドに居た。
多忙な接客と季節の変わり目のせいで、どうやら体調を崩してしまったようで…
近くに病院がなければ救急箱に入っている風邪薬でしのぐしかなくてぐったりと横になっている。

時雨が具合を壊し医務室に居ると聞き、心配で上の空の接客を終え、シャワーで身を清めると医務室へと急ぐ。
コツコツとドアを叩き…
「時雨…? 起きてる…?」
中に入り他に人が居ないことを確かめながらカーテンで仕切られたベッドに声をかける。

体の熱さと気怠さでなかなか寝付けないでいたところにドアからノックの音。
次いで咲也の声が聞こえてくる。
「ん… 起きてるよ…」
カーテン越しにいつもより弱々しい声で返事をして。
「…もう仕事は終わったの?」

「うん…終わったとこ…」
カーテンの隙間から中に入り枕元の丸椅子に腰掛け、袂を左手で抑え右手で時雨の額に手を置き熱を診る。
「熱…あるね…」
心配を思い切り表情に出して時雨を見つめ。
「食欲…ある? 食べれそうなら… 何か作ってこようか…?」

「そっか…」
心配そうに見つめる咲也を潤んだ目でにこりと笑ってみせて。
「ちょっと熱が引かなくてね… 咲也の手冷たくて気持ちいいや…」
咲也の手の冷たさに小さく息を吐いて。
「ん… 食欲は…あんまない… 喉乾いた…」
ずっと一人で寝込んでいたために、水分もまともに摂れていなくて。

「そか… ちょっと待っててね?」
すっとカーテンから外に出て台所へ向かう。
冷たいおしぼりと、お客様に出すウィスキーを割るミネラルウォーターのペットボトルと、お客様から戴いたイチゴを洗って丁寧にヘタを取ってお皿に乗せて医務室へと戻る。
「お待たせ…」
丸椅子に腰掛け時雨の額に冷たいおしぼりを乗せ、ペットボトルにストローを挿し時雨の口元に持っていき。
「水分と… ビタミンC… 摂ったほうがいいよ… はい…」
イチゴを摘んで時雨の唇に当てる。

咲也が医務室から出てしばらくすると、水とイチゴを持ってやってきた。
イチゴは貰い物だろうか、大粒のもので。
「ん… ありがと…」
ペットボトルの水をストローでゆっくり飲み干せば身体に染み渡っていくようで…
「へぇ… そうなんだ…」
練乳欲しいな、なんて思いながらイチゴを口に含んで
「うわ…甘い」

「うん… お客様からの戴き物なんだけど… 美味しい?」
自分も一粒噛じって。
「ん…甘いね」
真っ赤に熟れたイチゴを時雨が飲み込むのを眺めつつ。
「これなら… 食べれそう?」
次のイチゴを摘んで聞く。

「そっか、すごく美味しいよ…」
ゆっくりと口の中で味わいながら飲み込んでいく。
「ん… これなら食べやすくていいや…」
次に運ばれてくるイチゴもパクリと食べて。
「気遣わせちゃってごめんね? 咲也も疲れてるのに…」

「ん…良かった… 何も食べないと…風邪薬だけじゃ… 胃にも良くないし…」
時雨がイチゴを飲み込むと次のイチゴを口元へ運ぶ。
「大丈夫だよ… 時雨こそ… こういう時はそんなこと気にしないで?」
額のおしぼりを裏返すともう時雨の熱で温まっていて。

「助かるよ… よくわかんないから 薬飲んでおけば大丈夫かなって 思ってたんだけど…」
照れ笑いを浮かべながら咲也の指に唇が触れて舐めるようにイチゴを頬張って…

時雨のそれまでの生活で
『病気になったら親に病院へ連れて行ってもらう』という、普通のことが無かったことや、『存在を抹消』されている今では、保険証も無いので病院に行けない等の事情を知らない咲也は、こんなになるまで我慢してしまう時雨を呆れたようにため息をつき。
「もう… ちゃんと熱は測った? 薬ってこれ…?」
ベッドのサイドボードに置かれた市販薬の箱を手に取り『効能』とか『用法・用量』などを確かめる。
「イチゴ… 食べ終わったら… また飲んだほうがいいみたい… だね…」
指先に時雨の唇がいつもより熱く感じられながらイチゴを運ぶ。

「熱はちゃんと測った… どっから熱があるなんて わかんないけど… 薬は…適当に飲んだ」
育ちが悪いせいか、こういうことはかなりいい加減な時雨…
ニシシと照れくさそうに笑って…
大きめイチゴを頬張れば果汁が口の端からすじを作ってしまい。

「もう… 笑い事じゃないよ… ぺろ」
イチゴより紅い時雨の唇の端から滴る果汁を何のためらいもなく顔を近づけ舐めとる。
「時雨… ちゅ」
イチゴのお皿をサイドボードに避けてイチゴ味のキスをしながら
ギシっと医療用ベッドに腕をついて。

本気で心配そうにする咲也を面白そうに小さく笑いつつも、果汁を舐められれば、そのまま唇を奪われてしまう。
「ん…咲也…だめだって 咲也まで風邪引いたらどうするのさ…」
咲也の肩を押して、今度はこちらが困ったように。

「大丈夫… ウィルス性の風邪じゃないから… 伝染らないよ… ちゅく」
キスを続けながら時雨のシャツの上から胸を撫でる。
「汗ばんでるね… 着替えたほうが… いいね…」

「ん… ふうっ …そうなの?」
やけに詳しいなあと思いながら、しっとりと汗を吸ったシャツの上から胸をなでられ目を軽くつむり。
「そう… じゃあ脱いだほうがいいかな… よっこいしょ…」
ベッドからダルい半身を起こしてシャツを脱いでいく。

「ん…」
身体を起こした時雨の額から熱を吸ってぬるくなったおしぼりを取って、カーテンから出て医務室の水道でお湯を出し洗いぎゅっと絞って、医務室に置かれている共用のパジャマを持ってカーテンの中に戻り。
「身体… 拭くから…」
お湯で絞った温かいおしぼりで胸や背中を拭いていく。

手際がいいなあ…と、ぼんやり咲也の動きを見て思って。
「ん…お願いするね…」
軽く手をバンザイして咲也が汗ばんだ身体を拭いていく。
身体がスースーして気持ちが良い。

「身体も… 熱っぽい…ね…」
行為の時の紅潮した時雨の身体を思い出させ目のやり場に困りながら拭いていき、背中からパジャマをかけて腕を通させる。
「はい… 次 脚拭くから…脱いでて…」
またカーテンの外に出ておしぼりを洗いに行く。

「そりゃそうだよ… 風邪引いてるんだから…」
どうして咲也まで赤くなってるのだろうと首を傾げつつ、パジャマのボタンを止めて、ズボンを脱ぎはじめて。
「…パンツは…別にいっか…」

病弱な母の看病で慣れたことなのに、時雨相手だとなんだか胸の鼓動が早くなってしまって…
お湯でおしぼりを絞りながら
「はぁ…」
と、ため息を付いてからカーテンの中に戻る。
「ん… 脚…拡げて?」
そっと太ももから拭いていく。

「ん… わかった…」
少し咲也の方に向き直って座りながら足を拡げればM字開脚のようになり、自らの不格好さに少し吹き出して
「…くすぐったいよ…んあっ」
太ももの皮膚の薄い部分をおしぼりが通過すれば敏感に反応してしまい。

「…っ」
時雨の声に更に頬を染めつつ、内股からふくらはぎ、足の裏へと丁寧に拭いていく。
「…時雨 パンツも脱いで…?」

「ん… くう…」
優しく撫でるような咲也の手つきにどうしても声が出てしまう…
「え… うん… いいよ」
案の定パンツも脱ぐことになりプルンとお尻を出す。

「ココ… 冷やすとね …熱… 下がりやすいんだよ…」
脚を拭いただけで反応している時雨の屹立をそっと撫でながら、サイドボードに手を伸ばしイチゴを口に含む。
お客の訪問時からさっきまで冷蔵庫で冷やされていたイチゴは咲也の口内で潰されても冷たさを失わず。
「ちゅっ くちゅ… じゅる…っ」
冷たい愛撫を時雨の屹立に与えていく。

口の中で潰されたイチゴがローションのようで、火照った時雨の屹立を愛撫していく。
その感覚に腰をヒクヒクとひくつかせて。

「くちゅ じゅく… ちゅる」
M字に開いた時雨の脚の間でイチゴの果汁を屹立へ擦りこむように舌を絡め頭を上下させ唇で扱く。

「はっ… 咲也… 上手になったね…」
快楽のツボを心得た咲也の愛撫に以前の咲也とは違う成長が見られて思わず頭を撫でて…
次第に時雨の屹立は頭をもたげて、あっという間に堅くなって。

「ちゅぅ… ごくん」
時雨の熱を奪いイチゴの甘酸っぱさの中に、少量の時雨の味を感じるようになった果汁を飲み込んで。
「ん… 気持ちいい?」
頭を撫でてくれる時雨を笑顔で見上げ、またイチゴを口にし時雨の屹立を咥え、口をすぼめ歯を使わずにイチゴを潰し屹立に締め付ける感覚とイチゴの果汁が溢れる感覚を与える。

「うん… とっても… 気持ちいい… んあっ…」
自分の先走りをイチゴと一緒に飲み干す姿はいやらしく、思わず時雨も息を呑む…
イチゴの感覚と舌の感覚両方いっぺんに屹立を舐めまわすのはなんとも不思議な感覚で…
それでいて気持ちいい。
少し腰を振って咲也の口の中でイチゴをかき混ぜるように動かして。

「んっ ちゅく じゅぷ ちゅ…っ」
時雨が自分から腰を振ってくるのを太ももに手を置き奥まで咥えて受け止めながら、口内をイチゴの果汁と時雨でいっぱいにしていく。

「くっ… ふっ… 咲也…」
今日はお客様とシていないせいか、溜まっていた精液が今にも吹き出しそうで…
「ん… あう …イっちゃう…」
咲也の喉の奥で、勢いは少ないがドロリと粘り気のある精液を出して。

「ふ…んんっ ごく…ごくり」
飲み慣れた時雨の白濁がイチゴと混ざって喉を通っていく。
「はぁ… はぁ… 時雨… 今度はこっち… ちゅ」
『イチゴ時雨味』の唾液を指に垂らし時雨の孔に塗っていく。

「はう… ふぅ…」
今日一発目の射精に少しの間虚空を見つめて…
自ら出した精液と、イチゴ果汁のブレンドを孔に塗りたくってほぐされれば
いつもより熱をもった孔はきゅうと締り
「…咲也… 一応病人だから…ね?」
フェラは一歩譲っても行為にまで発展すると自分の体力が持たない…
『まあ…咲也が収まる訳ないか』と半分諦めつつ。

「ん…身体…きつい…?」
いたわるように声をかけ時雨の顔を見上げながら、つぷ… くちゅくちゅくちゅ…と音を立てながら熱い孔を指を出し入れしほぐしていく。

「ちょっと…しんどいけど… ふあ… 咲也たらやる気満々だし… あんっ…」
咲也の冷たくて細い指が中でうごめくたびに身体の芯が涼しくなるようで…

「ごめんね… 時雨の…熱っぽい瞳とか… 色っぽくて… 止められない ちゅ」
時雨に口付け唇で押し倒すように、ベッドに横たわらせ、ほぐれた孔から指を抜き
「ココも… 冷やしてあげる…ね?」
大きめのイチゴを選んでグイッと孔に押し当てる。

「はぁ… そう…? 仕方ない…なあ…」
少し疲れながらも、まんざらでもないように首を縦に振って。
「う…は… 冷たい…」
イチゴを孔に押し込まれれば、冷たさできゅんと強く締りイチゴが潰れて孔から涎を垂らしたように果汁が溢れ出て…
「あ… ふぅ…」

「あーあ…もう潰しちゃった… ダメだよ…もっと…奥で味あわなきゃ… ちゅぅ…」
溢れるイチゴ果汁を舐め上げてから、次のイチゴを孔にあてがう。
ぬぷ…ぐち…と1個目のイチゴ果汁で滑りの良くなった孔にゆっくりとイチゴを沈め潰さないように気をつけながら中指で最奥まで押しこむ。

「うわっ… またっ… ひゃん…」
潰れたイチゴを見て薄く笑う咲也を見て、『病人で楽しんでいるのかな』と考えて…
さらに大きめのイチゴが押し込まれれば、奥で冷たさを直に感じてしまって。
「んやああっ …深い…っん」

「冷たくて…気持ちいいでしょ? 締めつけちゃ…ダメ…だよ?」
つぷ…っと次のイチゴを挿入し、2個目のイチゴを更に奥へと押し込み、そのまま指を曲げ前立腺を擦っていく。

「冷たいけど… くっ…う… 無茶だよ…」
中で冷たさをじわじわ感じてイチゴを潰してしまわないように力を抜いて…
2つ目のイチゴを挿入れられれば時雨の屹立も再び堅くなって。
「ていうか…咲也… 食べ物粗末に… んっ… しちゃ…ダメだったっ… ひゃんっ! 無理っ」
前立腺までいじられてしまえばグチュっとイチゴが中で潰れて。

「大丈夫… 粗末にしてない…よ? ちゅるる…っ」
時雨の孔に吸い付きイチゴ果汁を舌を挿し込み掻き出していく。
「くちゅ ちゅぅ ぺろ…」

「やぁああっん…あっ …そんなに… 吸ったら… はあっ…あ…」
孔が吸い上げられ中のイチゴがドロドロと排出される。
まるで咲也が排泄物を食べているようで流石の時雨も顔を赤らめて…
「はあ… 咲也…」

「ん…時雨… おいし… ちゅるる…」
ジャムのように潰れたイチゴの果肉を吸い上げると孔から口を離し。
イチゴで濡れた唇をペロリと舐めまわして。
「時雨…今度は… 一緒に 気持ちよく…なろ?」
時雨への愛撫で熱くなった屹立を着物の下半身を肌蹴けさせて取り出し。

「……いやらしいよ… 咲也…」
イチゴの果汁で潤った唇がなんとも淫らに映えて。
「もう…十分気持ち良いんだよ…? もっとトぶほどシてくれるなら… 大歓迎」
事実、これまでの愛撫で時雨の体力がごっそりもってかれていて…
ぐったりと仰向けになれば両足を抱えて孔を見せて。
「…あんまり動けないから… これで…」

「うん…」
時雨の脚を自分の肩に担ぎ上げるように持ち上げ孔に屹立をあてがう。
「僕が… 動くから… 時雨は… 疲れないように…してて…ね?」
ぐちゅ…っとイチゴ果汁で表面は冷たいが中の肉は熱を帯びている不思議な感覚の孔の中にゆっくりと屹立を沈めて、時雨の負担にならないように優しく腰を振っていく。

「うん… はっ…う… 挿入ってくる…ぅ」
咲也の屹立はイチゴ果汁のお陰ですんなりと入ってきた。
それでも病人の時雨にとっては負担が大きく。
「あ…あう… ひ…あ…」
いつもより大分弱々しい喘ぎ声で…
「咲也… 気持ち良い…」
潤んだ瞳で見つめて…咲也の背中をさする。

「は…ぁっ しぐ…れ んっ」
最奥まで沈め時雨の中を味わうように腰を回したり、脚を担ぎ上げた時雨の腰を掴んでパンパンと激しく肌を打つ音を立てながら出し入れしたりを繰り返す。
「時雨… 小さい声の喘ぎ声も… かわいい… ちゅ ちゅっ」
ぐぐっと担ぎ上げた時雨の脚を時雨の胸に近づけるように身体を折り時雨に口付ける。

はじめはゆっくりと優しい攻めだったが、徐々にに激しさをましていく…
揺さぶられる時雨はぐったりとしながらも喘ぎ続けていて。
「さくやっ… はあっ …はあっ… 激しい…よ… ああ… はっ… くちゅ…」
こちらから舐めまわす気力もなくだらしなく涎を垂らす。

「んっ ちゅく 時雨…ぇ はぁ…んっ ちゅ」
時雨を思いやって激しさを緩めるが、すぐに快感を突き上げるように動きを再開してしまう。
「ふ…ぁあっ 時雨っ んっんっん…っ」
時雨に口付けたまま同じように涎を垂らしながら時雨の腰を掴む腕がガクガクと震える。
「んぁ…んっ イキ…そ…」

「さく…やぁ… あ…はっ… ううっ…はっ」
緩めたり激しくなったりと緩急がより快感を生み余計に気持ちよく…苦しくなって。
「はぅ…… きゅう……ん」
潤んだ瞳からは涙が一つ、涎はたらたらと垂れ流し、もはや意識を保のがやっとの中。
「……いいよ、…出して」
掠れるような声を咲也の耳元で囁いて。

「ふはぁ…っ 時雨っ 時雨…っ んっぁぁあ あ…ぁっああああっ」
時雨の囁きに堰を切ったように、下半身から熱いものがこみ上げ勢い良く時雨の中に白濁をぶちまける。

「さくやっ …ふあ…ああ、ん」
容赦なく流し込まれる精液に嬌声を上げつつ意識を飛ばしてしまう。
中に溜まっていたイチゴと白濁が混じり合って、紅白の液体が時雨の孔から零れ落ちて。

「はぁ…はぁ…」
一気に重くなる肩にかけた時雨の脚が時雨が意識を手放したことを知らせる。
「お疲れ様…時雨… ちゅ… 好きだよ…」
ゆっくりと時雨の身体をベッドに寝かせ、もう一度イチゴ果汁や汗を拭き取り、パジャマを着せてやり布団をそっと掛ける。
「おやすみなさい 時雨」





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