第五話

「咲也の初仕事」




『見世』
そこはまだ固定のお客様の予約のない男娼達が
外を通る男達に声をかけて誘い
自分をアピールする場所。
しかし内気な咲也にそんなことが出来るわけもなく
他の男娼の少年たちの媚を売る猫なで声にまぎれて
「はぁ…」
と、ため息を付いて隅の方で
座っていることしか出来なかった。

「咲也 ご指名ですよ」
いきなり女将から声をかけられビクっと振り返る。
「は…はい…」
目立たないようにしていたつもりなのに…
こんなに早く指名がつくとは…
浮かぬ表情で女将の後に続いてロビーへお出迎えに向かう。

会社の経営がうまく行かず、社長は自ら命を絶った。
会社は結局倒産して
無職のままふらふらと遊廓に立ち寄ってみた。
見世にはあちらこちらで自分を誘ってくる声。
何もかも忘れて遊んでしまおうかと思った矢先に
隅の方で三角座りをしている子を見つけた。
その子は見覚えのある顔で…
考える暇もなく女将にその子を連れて来るように言った。
その子が現われるまではロビーのソファーで
落ち着かないように座っていて。

「咲也 貴方にとっても初めてのお客様ですが
 お相手もご新規のお客様です。
 固定客へとつながるよう精をお出しなさい」
ロビーに入る一歩手前で女将さんにそう助言をされ
コクリと頷き緊張と不安を隠すように
精一杯の笑顔を浮かべてロビーへと扉を開く。
「いらっしゃいませ… ご指名ありがとうございます
 咲也…と申します」
『笑顔』『明るい声』時雨に教わったことを思い出しながら
お客様の前でペコリと頭を下げる。 …が
「あ…あれ…? 二宮の…おじさま?」
父の部下であったその人物が自分の記憶より
荒んだ表情や身なりで目の前に座っている。

小さくか細い声の挨拶にはっと頭を上げる。
そこには着物を着飾って
艶やかな雰囲気を醸し出しているものの…
自分が想像した人物と一致して。
「やはり…坊ちゃんでしたか…」
なんとも複雑な表情をして咲也を見つめる。
あの時の物静かな佇まいは変わらない。
しかし、この吸い込まれるような
魅力は一体なんなのだろう…
二宮はすっと立ち上がり。
「ここで立ち話も何ですから…
 どこか落ち着いて話せる場所を…」

「は…はい… どうぞ… お部屋にご案内します…」
どうしてこんなところにおじさまが?
咲也の記憶の中では父に忠実で
家に来た時には僕とも遊んでくれた
優しかったおじさまが何故こんなところに?
混乱しながらもエスコート係のボーイにコートや鞄を預け
咲也の和室へと向かうおじさまの一歩後を着いて行く。
和室にお通ししてボーイが去ると
「何かお飲み物をご用意しましょうか?」
とりあえずマニュアル通りの接客をするしかない。

ボーイに指示された部屋につけばそこは煌びやかな和室で
和服をきている坊ちゃんの姿が一層映えるようだった。
新しい畳の独特の匂いを感じつつ腰を下ろして。
「いや……大丈夫
 そんなことより…何故坊ちゃんがこんな場所に…」
素朴な疑問を投げかけて
その間も透き通るような肌や
艶やかな髪の毛に見とれつつ。

「おじさまにも…ご迷惑を
 いっぱいかけてしまったと…思いますが…
 父の自殺のあと…母が入院してしまって…」
自分を知っている人物にこんな所に居る事情を
説明することになるとは思わなかったので
父が会社のために借金をしていた相手から
ここを紹介され売られてきた経緯を話していく。
よく知っているおじさまの前だかろうか
『営業用』の笑顔を使わず自然に話すことが出来て
咲也にとっては少し安心していて。
「でも…おじさまこそ…なんで こんな…ところへ?」
確かおじさまは結婚もしていて
僕より大きいお子さんも居たはず…
何故?と思う気持ちを素直に向ける。

可哀想なことに、どうやら坊ちゃんは不幸に不幸が重なり
ここに売られることになってしまったようだ。
社長の自殺のせいで
自らの境遇が危うくなったのを何度も恨んだが
その息子の末路を見るとそうも思えなくなる。
「はは… 会社が倒産してから仕事が見つからなくてね…
 妻や子供にも逃げられる始末だし…
 気晴らしにここに来たら坊ちゃんが居たものだから」
最初は驚いたものの、坊ちゃんを見れば見るほど
焦がれるくらいの欲情を思い出しつつあって…

「え…」
おじさまの家庭まで壊してしまっていたのかと
哀しい目でおじさまを見つめる。
「ごめんなさい…おじさま… 僕がもっと大きかったら
 会社を継いで立て直し…は…
 出来なくても…おじさまたちに退職金くらい…
 払えるようにしたかったのに…」
申し訳なさそうに言って俯いてしまう。

「いや……もういい」
哀しげに懺悔の言葉を口にする坊ちゃんを止める。
もう過ぎたことは戻せないし、失ったものは還らない。
それならいっそ…ここから奪えばいい。
そんな残酷な思考が働いた次の瞬間には
坊ちゃんを押し出していて。
「坊ちゃん… いや咲也
 咲也と逢う度に思った
 その細身を我が物にできれば…とね」
ぐにゃりと歪んだ笑いを浮かべて
「ここでは…それを隠す必要もない…」
そういって着物の隙間に手をいれて弄り始める。

「…っ!? おじさま…?」
小さい頃は抱っこしてもらったり肩車してもらったりして
遊んでくれた二宮の豹変ぶりに驚き目を見張る。
バフッと厚みのある羽根布団に押し倒され
着物の中に手を入れられれば
抵抗の声を上げることは出来ず。
「ぁ…っ おじさ…ま… っんん」

弄る手は激しさを増して
薄い胸板や胸の突起をさわさわと撫で回す…
「あぁ…夢のようだ…
 可愛い可愛い咲也を、抱けるなんてっ…!」
自らの願望が満たされていくのを体を震わせて感じながら
太い舌を咲也の耳や頬に這わせていく…

「ぅ…んッ あ…ッ」
『教育』の時の時雨や他の男娼の指とは違う
『大人の男』の指や舌で身体に触れられると
無意識に身体がすくんでしまい
二宮のされるがままに組み敷かれてか細い声を上げる。

「もっと可愛い声で鳴いてくれ…」
咲也の頬から首筋へと舌を這わせて
時折強く吸い付いていく。
着物を徐々に剥いでいけば
いやらしく細い腕や脇の下を撫で回していく。
「なんて綺麗な躯なんだ…
 そこいらの淫売とは比べものにならない…」
くくくと卑下た笑いを浮かべて。

「ひゃぁ…んっ あぁ…っ ふっ ハァッ」
『時雨しか知らなかった身体』が堕ちていくのを感じ
じわ…っと涙目になりながら
二宮を満足させるよう声を上げ着物を脱がされていく。

じわりと溢れる涙を舌でベロリと舐めとって
そのまま犯すように唇を奪う。
咲也の歯列をなぞるように舐めまわし
粘膜を蹂躙していく。
「気持ち良くて泣いているのか?
 …はは、あの端正な坊ちゃんとは
 思えないくらいに淫乱だな」
グリグリと胸の突起を強くいじり
時折引っ張ったり、噛んだりする。

「んっんっぁ…っ くちゅっ ふ…ぁっ」
時雨に涙を舐めとってもらった時は
気持ちよく感じた舌の感触も
今はただ気持ち悪いだけで
唇を塞がれれば思わず歯を噛み締めてしまうが
それも執拗に舐められ
『教育』された通り舌を絡めて応えて。
「ゃぁ…ぁんっ 痛…っ んぁっ」
乱暴な愛撫にふるふると首を左右に振って。

いやいやと首を振る咲也を
愉しむかのように執拗に胸を弄り続ける。
脇や臍にも舌を這わせて
まるでマーキングするかのように咲也を穢していく。
「いやな割には、こっちは元気じゃないか?
 嘘はいけないな」
いつの間にか勃ちあがる屹立をピンと指ではじき
くちゅくちゅと扱きだす。

「ひっぁ…っ んんぁっ ぁんっ」
執拗な愛撫に胸の突起は腫れるように膨らみ
二宮の卑猥な言葉攻めに抵抗を感じているのに
下半身は自分の意志とは裏腹に熱くなり始めていて。
「あぁっあっぁっ…っ」
二宮の扱く手の動きに合わせて声を高くし腰が揺れる。

「こんなに乳首腫らして気持ち良いのか? 淫乱め…」
赤く熟れた乳首を再び口に含み、吸い上げる。
二宮の股間も屹立が苦しそうにズボン越しに主張していて。
「俺も…こっちが苦しくてね… 一緒にしごいてあげるよ」
ズボンから赤黒い屹立を出して
それを咲也の屹立と合わせて扱き始める。

「う…んっ んぁ ふ…ぁ…っ」
再度胸を吸い上げられれば
それはもう自分の意志ではない快感を身体に走らせ
ビクンと背筋をそらせ
二宮の屹立と密着させられ扱かれる屹立から先走りが溢れ
二人の屹立をヌルヌルと濡らしていく。

くちゅくちゅと淫らな水音が和室に響きわたる。
咲也の色っぽい声が劣情をさらにかきたてる。
咲也の敏感な鈴口を指の腹でえぐるようにいじくれば
幼い屹立はヒクヒクと反応する。
「ああ…なんて気持ち良い…」
少年を穢すという背徳感に
言いようのない快感を覚え
グチャグチャと乱暴に扱く。

「あっ…んっ ゃぁ…っ そ…こっ んんんっ」
腰を引いて逃げそうになるのを
絹のシーツに指を立てて我慢しながら
乱暴に扱かれ強い刺激に
ビクンビクンと開いた脚が震える。

「ん? もう達してしまうのか?
 お望み通りイかせてやろうか?」
乱暴に扱く手をそのままに
もう一方の手で先走りを掬いとり
指に塗りたくれば咲也の孔にくちゅりと差し入れて。

「やぁぁ…ぁぁ…っ んぁっ はぁ…んっ」
屹立と孔を同時に弄られ
ビクンと大きく腰を跳ね上げ
今までなら時雨に抱きついて
求めていただろう感覚を思い出しながら
きゅぅ…と指を締め付ける。

「柔らかい孔だと思えば、きつく締めつけてきやがる…
 なんてヤらしい孔なんだ…」
締めつけてくる孔を指で強引に掻き分けて
奥にある前立腺をコリコリとなぶる…
「ほら…ここがいいところなんだろ?」

「はぅぅ…っん だ…ダメっ おじさ…まっ ッぁああ…ァッ」
イクぎりぎりの快感を与えられて
ひくひくと痙攣するように小刻みに孔を締め付け
屹立からの先走りは二宮の手をベッタリと濡らしていく。

ヌルヌルとローションのような先走りが
屹立を伝って布団を濡らしていく…
先走りの滑らかな感覚に二宮も余裕が無くなってきて。
「…っ… そろそろこっちも… 近い…」
快感を貪るように亀頭を擦りあげ
孔への愛撫も指を増やしていく。

「ひ…っ あぁ…っ あぅ」
屹立同士が擦れる感覚と増やされた指に
ギュッとまぶたをきつく閉じ耐えて
頭の中が酸欠のような
快感の波に満たされていくのを感じる。

「っ! いくっ……」
太く赤黒い屹立が膨らんで
次の瞬間には大量の粘っこい精液を
咲也に向けて吹き出させてしまう。
精液は顔や身体に飛び散り
咲也の体に淫らに色づけをする。

「ぁぁあっ んぁ…ぁぁあぁぁっあ」
二宮の白濁を浴びながら
自分も二宮の手の中で果てる。

「んっ…くぅ…」
絶頂にしばらく息を荒げていたが
手についた精液を見るなり
それを少し萎えた屹立に垂らして。
「…しっかり掃除をしな
 次はいやらしい孔に入れてやる」
咲也の首根っこを掴んで
精液で濡れた屹立を目の前に持ってきて。

「はぁ… はぁ… んっぁ」
グッタリと体の力が抜けた咲也の
着物の襟を引っ張り上げられ
二宮の屹立を目の前にさせられる。
「…あむ くちゅ ちゅく… ちゅぅ ちゅく… ぺろ…」
ほとんど自分の先走りで濡れた
屹立を口に含み舐め上げていく。
『大人の男の屹立』は咲也の口にはきつく
苦しそうに奥まで咥えて舌を絡める。

「歯を立てるなよ…」
温かい咲也の口内を味わいつつ
咲也の孔をほぐし始める。
屹立は咲也の口内の中で再び硬さを取り戻し始めて…
咲也の頭を抑えては屹立を奥にまで突き立ててみる。

「んっ んぐっ んっ んぅ…っ」
頭を抑えられ二宮のペースで屹立で口内を犯されていく。
大きく口を開け唾液と精液の混ざったものが顎に伝っていく。

苦しそうに屹立を咥える咲也を満足げに見つめて
しばらく口内を犯したあとに屹立を口から引き抜く。
唾液や精液に濡れた屹立は
てらついていてより一層グロテスクで。
「…尻向けて、入れやすいように手で拡げな」
苦しそうにする咲也に冷たく言い放って。

「はぁ… はぁ… けほっ」
屹立を抜き取られ大きく息を吸い込み
二宮の言葉に無言で後ろを向き
両手で双丘を持ち割れ目を拡げるようにする。
「……」

「いっぱいよがらせてやるから…なっ」
双丘の割れ目から見える拡げた孔に
屹立をあてがうと一気に奥まで貫いていく。
「……っ …なんて締めつけだ… 吸い取られるようだ」

「きゃぁぁ…っっん んぁぁぁ…っ」
布団に肩と頬を当て膝を立てて
双丘を突き出すような格好で
一気に貫かれる痛みに悲鳴に近い声を上げる。

「いーい声だ… 胸がスッとするようだ…」
締め付けヒクヒクと脈動する腸壁を
屹立でゆっくり擦りあげていく。
手は突起を撫で回して、あるいは耳の穴を弄る。

「ふぁ…っ あぁあ… はぁっ あっぁぁ…っ」
徐々に痛みに慣れ
『大人の男の屹立』の大きさできつきつの中を擦られれば
双丘を持つ手がブルブルと震え
自身も硬さを取り戻してしまう。

「挿入れられて、ちゃんと感じているんだな… 咲也」
突き上げるたびにパンパンと破裂音が部屋に響き渡る。
硬さを取り戻しつつある咲也の屹立を再び激しく扱いて。
「…ああ… 可愛い咲也… このままずっと犯していたい…」
ベロベロと背中を舐めて。

「うっく…はぁっ あぁん や…ぁっ」
激しい突き上げと扱きに
また快感で意識が混濁し始める。
「あっあっぁぁあっ し…っ」
呼んではいけない名前を口にしそうになって
慌ててシーツを噛んで声を殺す。

声を噛み殺す咲也に不満なのか
その軽い身体を持ち上げて
M字開脚で騎乗位のような形で突き上げる。
「…くっ 孔が吸い付いてきやがる…」
リズミカルに突き上げそれに伴って咲也の声も漏れる。
「もっと俺のために鳴いてくれよ… 咲也ぁ…」

「はぁぁっ あっぁあ ゃぁ…っ
 おじさ…ま…っ あぁ…んっ」
二宮に急に体位を変えられ身体を
支えるように二宮の腹に両手をついて
突き上げられ身体を揺らす。

「くっ…咲也の中は最高だっ…
 きゅうきゅうに吸い付くエロマンコだなっ」
言葉でも咲也を追い詰めていく。
咲也の屹立も胸の突起もい弄りまわして
快感で咲也を溺れさせる。

「やぁ… んんぅっ ぃゃぁ…」
ガクガクと二宮の上で身体を
上下させられながら
卑猥な言葉に頬を染め
聞きたくないと言うかのように首を振る。

「嫌がっても体は正直なんだよっ …淫乱っ…
 くっ… これから色んな男に弄ばれてなあ…
 よがるんだよっ…!」
今や男娼となり果てた咲也を罵りながら
激しく犯し続ける…
「くっ …やばい… 出るっ」

「ぃゃ…ぁ…っ あぁああ…ぁぁ…っ」
二宮の言葉はもっともで
快感からではなく悔しさに
ツ…っと涙が頬を伝う。

「たっぷり種付けしてやるっ
 …しっかり味わえっ…」
最奥を突き上げるとピタリと留まり
二回目の迸りが咲也の中を満たしていってしまう。
二宮は中でイク感覚に目眩を覚えるほどに快楽を感じて。

「んぁぁ…ぁぁあっあああ…っ」
身体の中に時雨以外の男のモノを初めて注がれ
自分が穢されていくようで
吐き気にも似た嫌悪感を感じながらも
身体の反応はきゅぅぅっと二宮を締め付け
二宮の腹に白濁を吐き出していた。

埋まっている屹立を引き抜けば
ごぽりと白濁がぽっかり開いた
孔からこぼれ落ちていく
それがなんとも扇状的で
腹についた咲也の精液を指で掬って咲也に処理させる。
「くく…まだまだ…
 咲也が満足するまで犯してやるからなあ…」

「はぁ… はぁ… はぁっ」
荒い息を整えながら二宮が差し出してくる指を舐めていく。

再び屹立が起き上がれば
グチャグチャになった孔に突き立てて
貪るように咲也を犯していく。
咲也の悲鳴にも似た嬌声が絶え間なく発せられて…
それは時雨に助けを求めいるかのようで…
しかしそれが通じるはずもなく。

二宮は溜まっていた性欲や
会社が倒産し無職になり妻子に逃げられた怒りや
元から咲也に目をつけていた色々な感情を満足させるように
一晩中咲也を犯し続けた。
気絶することも許されず
何度イカされたか分からない咲也も
空が白み始める頃には何も考えず諦めにも似た目で
ただただ犯され続け嬌声をあげていた…






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